2008年10月21日(火) |
三浦 和義 「 他殺 」 の可能性 |
「 うむを言わさず話をつけるさ 」
映画 『 ゴッドファーザー 』 より
I'll make him an offer he can't refuse.
The Godfather
1972年公開の 『 ゴッドファーザー 』 は、実に “ 凄み ” のある映画だった。
なかでも、劇中に何度か登場した冒頭の台詞が、強く印象に残っている。
英語の “ I'll make him an offer ( 私は彼に一つの提案をする ) ” という文は、「 主語+動詞+間接目的語+直接目的語 」 の形を取っている。
この文型は、「 主語に当たる人が何かをすることで、間接目的語に当たる人が、直接目的語に当たるものを持つ 」 という意味になるのが特徴だ。
英文法の基礎中の基礎、基本5文型の中の第4文型といわれるものだが、後半に “ can't refuse ( 断れない ) ” を付けると、「 脅し文句 」 にもなる。
マフィア の 首領が、「 私は彼に “ 断れない ” 一つの提案をする 」 と語るのは、「 うむを言わさず話をつける 」 と同意語だと考えてよい。
この映画に描かれたような犯罪組織や、裏社会では、常套句的に使われる台詞だが、こんな会話を向けられないように、気をつけたいものである。
先日、『 ロサンゼルス銃撃事件 ( ロス疑惑 ) 』 で逮捕された 三浦 和義 が、ロス市警内の拘留施設で自殺し、世間を驚かせた。
市警側は、「 自殺以外の証拠は見当たらない 」 と話すが、故人の代理人 ゲラゴス 弁護士 は、独自調査の結果、「 他殺説 」 を示唆している。
日本人の感覚でいうと、「 警察署の中で殺される 」 という可能性は皆無に等しいと思いがちだが、実は、アメリカでは 「 有り得る話 」 なのだ。
特に、大手の マフィア が絡んだ事件では、いわゆる “ 口封じ ” のために、裁判の証人や、逮捕され拘留された囚人が、殺害された例は珍しくない。
彼らは、目的のためには手段を選ばず、護衛に付く警官、収監先の看守、同房の囚人に至るまで、買収、恐喝などにより、仲間へと引き込む。
今回の 三浦 の場合は、「 犯罪組織から命を狙われる存在 」 とも思えず、おそらく、厳重な警備体制は、敷かれていなかったのだろう。
しかし彼は、問題の銃撃事件において、間違いなく 「 共犯者 」 を準備していたはずで、その人物とは、お金で雇われた 「 プロ 」 の可能性が高い。
いくら彼がアメリカの裏社会に通じていても、独力で 「 プロ 」 を見つけ出すことは難しく、そこには仲介する 「 組織 」 の存在があったはずだ。
仮に、その 「 組織 」 が、逮捕された 三浦 の供述から、我が身にも危険が及ぶと判断したなら、公判前に殺害を試みたとしても、不思議ではない。
まるで映画のような筋書きだが、けして 「 あり得ない話 」 とも言い切れないわけで、他殺の可能性も視野に入れて、検視は慎重に行うべきだろう。
一昔前、ロスで仕事をする日本人の女性と親しくなったが、彼女は、余暇を利用して近所の老人に、ちょっとした介護のボランティアも行っていた。
その中の一人に、「 CIA ( アメリカ中央情報局 ) の OB 」 が居て、普段は穏やかな老人なのだが、時折、大柄の男達と、密談を交わしていたという。
老人は、彼女の親切さ、優しさに感動し、「 もし、貴女が誰かにいじめられたり、迷惑を被ることがあれば、いつでも相談しなさい 」 と告げた。
彼女が、「 その “ 迷惑野郎 ” をどうするの? 」 と尋ねたら、老人は微笑を浮かべながら、平然と 「 明日の朝刊に載せてあげるよ 」 と語ったという。
なんとも背筋の寒くなる話だが、典型的な 「 うむを言わさず話をつける 」 という裏社会の脅し文句か、単なるジョークなのか、真偽の程は定かでない。
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