2008年10月11日(土) |
アメリカ ではなく、金融屋の 「 無能 」 が敗因 |
「 欠点を探すな、解決策を見つけろ。 文句なら誰でも言える 」
ヘンリー・フォード ( アメリカの自動車王 )
Don't find fault, find a remedy ; anybody can complain.
Henry Ford
欠点を見つけ、指摘する能力も必要だが、それだけなら誰にでも出来る。
いわゆる “ あら捜し ” の達人は、結局、何も生み出せない人だ。
世界中の投資家が、この数週間で 「 シャレにならん 」 ほどの損失を被り、企業の多くは、株価の低迷などによって、深刻な危機を迎えている。
普段は、のんびりと新商品の開発や、販売方法のアイディアなどに関する相談を受けているクライアントも、なんだか動きが慌しい。
珍しく、経理や財務の責任者が顔を揃える会議に呼び出され、今後の方策について尋ねられたりもしたが、正直、「 知るかよ 」 というのが本音だ。
最初から、資金繰りや資産運用などの 「 投資顧問 」 的な仕事は引き受けていないし、そうした 「 ファイナンシャル に携わる部分 」 は専門外である。
ありきたりな一般論を語っても意味が無いし、指導責任も負いかねるので、早々に立ち去ったが、彼らとしては、藁にもすがりたい気持ちなのだろう。
私自身も、このところ 「 シャレにならん 」 金額の損失を被っているが、下手に動くとマイナスの拡大になる恐れがあるので、当面は静観の構えだ。
この一週間、せめて “ 止血 ” だけでもしたいと考えたが、株価低迷による 「 含み損 」 を抑えることは不可能だし、黙って眺める以外に手は無い。
猫の額ほどの広さだが、北米に持つ不動産は、評価額こそ下落していないけれども、真っ当な価格で手放すのは、とても困難な状況にあるらしい。
最も判断に苦しむのは 「 外貨預金 」 で、ここまでの損失は忘れ、急落したドルを買い増すのが得策なのか、見合わせるべきか、難しいところだ。
お金への執着心は薄い性質で、元々は 「 無かったものだ 」 と思えば気楽なのだが、さすがに、この一週間は 「 日記 」 を書く気力も失せていた。
ライブドア の 堀江 社長 が逮捕されたとき、数多くの ブログ が彼のことを 「 お金の亡者だ 」 とか、「 お金がすべてではないぞ 」 と罵った。
しかし、アメリカに端を発する今回の金融危機では、社会倫理に反しても、破綻した銀行に 「 公的資金を注入せよ 」 と、大半の ブログ が書く。
大事なのは、「 正義 」 や 「 公平性 」 ではなく、「 市場経済に与える影響 」 という論調に、疑いを持つ人が少ないのは、なんとも不可解だ。
投資や経営に失敗し、破綻した企業は潰れるというのが、資本主義社会のルール、倫理基準なのに、なぜ、大手の金融機関だけは救済するのか。
私とて、個人的な損得からみれば、早々に金融不安が解消することを望んでいるが、“ そんなことのため ” に、正義を犠牲にしろとは言えない。
今回の世界同時株安、金融危機で、日本の各金融機関が受けた打撃は、比較的 「 軽傷 」 で済んだため、破綻に至るところは少ない。
それに比べ、欧米では次々と巨大組織が危機に瀕しているうえ、個人資産の中で有価証券の占める割合が高いことから、人々の不安は深刻だ。
ただ、それでも何割かの人は、たとえ自分の資産が紙くずに成り果てても、金融機関に対する不公正な支援に、反対の意志を示している。
彼らは、ハイリスク な投資で資産を失うことを 「 自分の意志でしたこと 」 と理解し、けして政府や、他人の責任にはしない潔さを擁しているのだ。
先日、破綻した 「 大和生命 」、「 ニューシティ・レジデンス 」 の記者会見を観ると、すべて 「 アメリカが悪い 」 と弁明しているようで、大違いである。
自由経済という構造は、どうしても貧富の差を生むが、少なくとも、有能で、努力し、成果を得たものは報われるという 「 公正さ 」 が保証されている。
その概念を崩し、預金者保護の名目で金融機関だけを救済するのならば、対象者については、相応の 「 ペナルティ 」 を課すことが正しい。
大規模なリストラはもとより、経営陣、幹部社員の法的責任追及、個人資産の没収、従業員の賞与カット、給与の半減など、「 厳罰 」 を課すべきだ。
これを言うと、「 そんなことをしたら “ 優秀な社員 ” が辞めてしまうよ 」 と反論する人もいるが、それは大きな勘違いである。
本当に “ 優秀な社員 ” が揃っているなら、「 国に支援されないと潰れる 」 ような状況に陥っていないわけで、彼らに 「 有能 」 は存在しない。
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