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2008年09月30日(火) サブプライムローン に関する金融屋の 「 大嘘 」



「 経済学を学ぶのは、経済学者にだまされるのを避けるためである 」

                                      作者不詳

The purpose of studying economics is to avoid being deceived by economists.

                                    Anonymous



物価を決める最大の要素は、「 需要 」 と 「 供給 」 の バランス である。

それを意図的に操作することで、儲けようとする集団もいる。


アメリカ金融危機を深刻化させたのは、間違いなく 「 サブプライムローン 」 であるが、その詳細については、語られていない部分が多い。

一般的に知られているのは、信用度が平均以下の個人 ( サブプライム ) に対し、主に住宅購入費用として、貸し付けられたローンという知識だ。

信用度が低いだけに、金融機関のリスクが高く、必然的に利用者の金利も高くなるが、簡単に住宅ローンが組めるとあって、とても人気があった。

だが、一昨年の後半から、ローンを支払えない率 ( 延滞率 ) が 13%台にまで上昇し、余波を受け、事業に関わった企業の経営が悪化し始める。

この問題が、単なるローンの焦げ付きで済まないのは、融資したローンが証券化され、債権の形で、世界中の金融機関に販売されていたせいだ。


債権購入者の中には、世界中の株式に投資しているヘッジファンドもあり、ローンの焦げ付きは、株価に影響力のある彼らへの信頼失墜に繋がった。

その結果として、世界的な株安の流れになったわけだが、「 ここまでの話 」 は何度も報道で伝えられているから、当然、ご存知の方も多いだろう。

ただ、これだけの情報では、「 せっかく、お金を貸してあげたのに、返さない連中が悪い 」 という、短絡的な判断しかできない。

そして、最悪の事態を招いた犯人は、ローンを焦げ付かせた利用者たちであり、貸し付けた金融機関は 「 被害者 」 であるという論理に至る。

たしかに、焦げ付きがなければ問題はなかったとも言えるが、銀行などの金融機関が 「 被害者 」 であるという意見は、まったくの 「 嘘 」 である。


金融機関は最初から、この程度の焦げ付きが発生することを予測済みで、13%台の不良債権が生じたことは、けして驚くほどの事態ではなかった。

彼らが、信用度の低い人々に融資し、リスクの高い “ 賭け ” に出たのは、善意による 「 人助け 」 のためではなく、以下に挙げる三つの理由による。

まず第一に、この事業は 「 高金利がとれる 」 という魅力があり、将来的に破綻の危機があろうとも、短期間で大きな収益を獲得できた点にある。

今回、破綻した金融機関の経営幹部には、その功績によって、2〜3年前には、「 55億円のボーナス 」、「 70億円の年収 」 を稼いだ者もいる。

彼らにとっては、将来的な不安を察知しながらも、目先の莫大な大金を得ることのほうが大事で、会社が潰れてしまっても、なんら困ることはない。


第二に、普通なら住宅ローンが組めぬ人々へ資金を供給すれば、空前の 「 住宅ブーム 」 が起こり、不動産価格が高騰するという予測があった。

仮に返済面で焦げ付きが生じても、債権の抵当として不動産を抑えており、その資産価値が上昇するのなら、金融機関にとって損失はない。

つまり、もともと サブプライムローン は、金融機関が抵当権を持つ不動産の価格を上昇させるために仕組んだ 「 住宅価格の操作 」 なのである。

ところが実際には、住宅価格の上昇は早期に鈍化し始め、場所によっては 「 二束三文 」 に陥った物件も多く、この目論見は外れてしまった。

返済が延滞している利用者の中には、住宅の値上がりを期待し、転売目的で使ったものの、売るに売れなくなり、破産に至ったという人も少なくない。


第三に、サブプライムローン は前述した通り、当初から 「 証券化 」 して、債権の形で世界中に販売する計画があったから、資金調達が楽だった。

結果的には、そのせいで 「 世界中の金融機関を直撃 」 する羽目になったのだが、取り扱い業者は、小資本で大きな融資を行うことが可能となった。

アメリカでも、当初はこのような 「 からくり 」 が秘匿されていて、滞納者側に非があるという論調も強かったが、最近では様子が変わってきた。

いくら銀行が 「 自分たちは被害者だ 」 と主張しても、それは彼らが私服を肥やすために仕掛けた末の 「 失策 」 であると、徐々に知られていった。

公的資金投入に反対する大規模なデモが発生したり、金融安定化法案が下院で否決されたのは、そうした 「 金融屋の嘘 」 が露呈した結果による。


金融機関を救済する法案だといえば 「 必要な措置 」 のようにも思えるが、アメリカ人全体の約25%は、低所得者層 ( サブプライム ) である。

先に述べた通り、「 55億円のボーナス 」、「 70億円の年収 」 を得ていた経営者の失敗を、貧困層の納める税金で補填することが正当なのか。

なにがなんでも 「 アメリカは公的資金を投入すべきだ 」 と言う人もいるが、これでは、お金持ちは何をしても許され、庶民は隷従の義務を負う。

各人、労働の質や量が異なることで、所得格差が生じるのは仕方ないが、「 銀行は国が救済 」、「 庶民は尻拭いをせよ 」 と格差付けるのは疑問だ。

日本の銀行も、過去には莫大な公的資金を受けたが、また、性懲りも無く、海外の金融機関を掌中に収めようとしており、まるで反省の色がない。






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