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2008年09月29日(月) 反対228 : 公的資金投入は 「 当然 」 ではない



「 お金にしか興味のない人間には、どこか病的なところがある。

  同じことが、利潤のみを追い求める会社にも言えるだろう 」

                  リチャード・J・ハイエン ( アメリカの実業家 )

There is something sick about a person whose only interest is money.
And the same can be said, I think, for the company whose sole goal is profit.

                              Richard J. Haayen



近頃、見た目は普通でも、「 どこか病的 [ something sick ] 」 な人が多い。

視野が狭く、自分の価値観でしか物事を考えられないのは、その典型だ。


アメリカの下院で、不良債権処理のため 「 公的資金75兆円を投入する 」 という法案が “ 賛成205、反対228 ” の反対多数により、否決された。

金融危機拡大を阻止する狙いの法案が否決されたことで、ダウ平均株価の終値は前週末比777・68ドル安と、過去最大の下げ幅を記録した。

東京株式市場も全面安となって、日経平均株価の終値は483円75銭安の1万1259円86銭で、約3年4カ月ぶりの安値水準となった。

歯止めがかからない世界株安に、「 先行きの不透明感などから、日経平均が “ 1万円を割り込む ” 可能性もある 」 との見方が広がっている。

事前に合意されているものと思われた経済安定化法案が、まさかの否決となったことに、世界中が驚き、動揺していると考えて間違いない。


法案が否決された理由は、退任が間近な ブッシュ 大統領 の威信低下が大きく影響し、共和党議員の3分の2が、反対に回った結果だという。

窮地に立たされた ブッシュ 大統領 は、30日夜、金融システム安定のための声明を発表する予定だが、それで動揺が収まるかどうかは疑わしい。

元来、「 サブ・プライムローン 」 という “ アメリカ製の爆弾 ” が金融不安の発端だから、世界の金融関係者は、米議会の決定に不満を示すだろう。

金融関係者ならずとも、市場の低迷は景気の後退につながるので、けして好ましいことではないが、冷静に考えると、「 否決 」 は不可解でもない。

この法案には、なぜ 「 銀行だけを救わねばならないのか 」 という米国民の強い不満が背景にあり、選挙を控えた議員らは、それに逆らえなかった。


農業や、漁業や、あるいは物を作ったり、売ったり、動かしたり、サービスを提供する “ 普通の職業 ” に従事する人と、“ 金融屋 ” の発想は違う。

金融屋にとって、お金は 「 数字 」 でしかなく、彼らは、お金を動かすことでバランスをとり、そこから発生する利潤というものにしか興味がない。

どんなに不公平であっても、公正でなくても、結果として金融市場が安定し、景気が回復するなら、税金、公的資金を投入することに迷いがない。

しかし、それ以外の人々 ( 額に汗して、労働の価値を知っている人々 ) の場合は、自分たちの稼いだお金を、単なる 「 数字 」 とは考えないものだ。

欲に目がくらんだ金融屋の失敗を、なぜ自分たちの税金で補填する必要があるのか、納得できないのが 「 普通の感覚 」 というものだろう。


銀行は預金者を募る際、自らの経営基盤が安定し、「 安全 」 であることをアピールしており、けして 「 ギャンブルへの投資 」 だとは謳っていない。

実際、ギャンブルにしては 「 見返り ( 利息 ) 」 が少なすぎるので、命がけで預金を保護することが、銀行にとっては義務だといえるだろう。

ところが、私利私欲のために、リスクの大きな投資に手を出し、挙句の果てには 「 潰れては困るだろ、お金を出しなさい 」 と、すぐに開き直る。

自分たちが儲けようとして、失敗したら預金者を脅せばいいという発想は、若者言葉でいう 「 逆ギレ 」 と同じで、身勝手このうえない。

バブル崩壊後の日本は、この不条理に反撥せず、公的資金を湯水のようにばら撒き銀行の破綻を防いだが、本来は 「 理不尽な話 」 なのである。


今回の金融危機で、「 ウオール街のボーナスが半減 」 との報道もあるが、真面目に、堅実に働いても、ボーナスが支給されない労働者もいる。

そんな人々から徴収した税金を、公的資金として投入することが 「 当然 」 のように錯覚しているのは、金融屋の エゴ でしかない。

現実問題として、今回の危機を回避するには一定の公的資金注入が必要ではあるけれど、まず、金融屋の態度を戒め、猛省を促すことが肝要だ。

最大限のリストラを行い、残った従業員の給料は 「 生活保護レベル 」 まで落とし、国民に 「 土下座して謝る 」 ぐらいでないと、救済の資格はない。

そこまでして、「 助けてやろうか 」 という方向に民意を動かすのが 「 当然 」 で、「 公的資金を投入しろ 」 などという暴論は、もってのほかである。






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