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2008年09月14日(日) リーマンブラザーズ 破綻 : 勇気ある決断は是か非か



「 成功の秘訣とは、目的に忠実であることだ 」

                 ベンジャミン・ディズレーリ ( イギリスの首相 )

The secret of success is constancy to purpose.

                                Benjamin Disraeli



自分のやるべき仕事を、ただひたすら忠実にこなす。

人並みの能力と運があれば、それだけで、標準的な成果は上がる。


欲の深い人間が失敗する大きな原因は、得意な本業以外に手を出したり、無謀な賭けに打って出たことによるところが多い。

しっかりと大地に根を張り、地道に働くことこそが成功の近道であり、楽して大儲けしようとか、不正な手段で利益を得ようとすると、概ね失敗する。

どの業界にも、そのような輩はいるけれど、「 大手 」 と呼ばれるクラスに、そのような悪習が浸透しているのは 「 金融業界 」 だろう。

大手銀行は、リスクの高いギャンブルに投資して、成功すれば身内だけで利益を甘受し、失敗すれば、公的資金の導入など、国に救済を求める。

本来、自分たちが果たすべき社会の役割を逸脱して、私欲のために暴走しては、その尻拭いを国家、国民に強いてきたのが、彼らの実態である。


アメリカで4番目に大きい投資銀行である 『 リーマンブラザーズ 』 が経営破たんし、世界中の金融市場に大きな波紋が拡がっている。

原因は、ご承知の通り 「 サブプライムローン 問題 」 だが、早くから破綻の危機を察知しながら、彼らは何の対策も講じていなかった。

今年の3月、投資銀行 ベアースターンズ が JPモルガンチェース によって救済買収された際、米当局は 300億ドル の救済融資をしている。

融資理由は、ベアースターンズ が巨額の CDS ( 債券倒産保険 ) を抱えており、倒産すると 62兆ドル のCDS市場が崩壊しかねないからだった。

リーマンブラザーズ の経営陣は、さらに巨額の CDS を抱えていたので、「 当局の融資を受ける資格がある 」 と勝手に解釈し、油断していた。


だが、アメリカ の ボールソン 財務長官 ( ゴールドマンサックス 出身 ) は、ベアースターンズ の時とは違い、救済金の支出を拒否した。

3月の危機は突然だったが、今回の危機はそれから半年間が経っており、リーマンブラザーズ には 「 十分な対応期間があった 」 という判断からだ。

いくら金融市場に多大な影響が発生するとはいえ、自分たちで改善努力を行わず、窮地に立てば国が助けてくれるという姿勢には、同調できない。

安易な公金注入は、金融の自己責任原則を崩し、アメリカ 経済界全体の「 モラルハザード ( 倫理崩壊 ) 」 に繋がる危険もある。

バブル が崩壊した時に、日銀、大蔵省、銀行の癒着体質から、無造作に公的資金を垂れ流した日本と違って、この勇気ある決断は立派だと思う。


とはいえ、今回の破綻による金融市場への影響は大きく、日本にとっても、原油高、ドル安、株安の 「 三重苦 」 が直撃する不安がある。

1930年代の 「 金融大恐慌 」 と同規模の騒ぎになれば、これは、アメリカ だけでなく、世界中を巻き込む混乱の火種になりかねない。

過去に、私は経済問題を日記に書かず、多少のことは楽観視してきたが、今回だけは 「 とんでもないこと 」 が起こるのではないかと、危惧している。

アメリカ の経済力が破綻した場合、アラブの石油産出国や、中国、ロシア などが台頭し、世界全体の覇権体制にも変化が現れるだろう。

単なる一時的な不景気で収まらず、アメリカ がさらなる 「 自滅 」 を続けた場合には、すなわち、安全保障の面でも、大きな 「 変革 」 が起こりそうだ。






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