Tonight 今夜の気分
去るものは追わず、来るものは少し選んで …

2007年04月26日(木) ライオンと羊



「 たった一日でもライオンでありたい。

  一生、羊でいるよりはマシだ 」

                    エリザベス・ケニー ( 小児麻痺研究家 )

It's better to be a lion for a day than a sheep all your life.

                                Elizabeth Kenny



別にライオンが偉くて、羊が劣っているというわけではない。

ライオンは生まれながらにしてライオンであり、羊は羊なのである。


特急サンダーバード号といえば大阪と北陸を結ぶ列車であるが、その車内で36歳の男が女性に暴行を加え、後日、逮捕された。

同じ車内には40名の乗客がいて、異変に気付いたが容疑者にすごまれ、誰も助けなかったという、なんとも被害者にとっては悔しい事件である。

このニュースを聞いて、周囲の 「 見て見ぬフリ 」 に憤慨したり、愕然とされた方も多いと思うが、それほど驚くような話ではない。

最近の多くの日本人にとって 「 見て見ぬフリ 」 は専売特許みたいなもので、被害者には気の毒だが、この国はそんな国なのである。

イラクでフセインが圧政を加えようが、各地で紛争が起ころうが、自分たちの平和憲法を盾にし、知らぬ存ぜぬを決め込むのが当世日本人気質だ。


こんなとき、まず被害者の女性は、大声で助けを求めるのが得策なのだが、「 殺すぞ 」 などと脅かされただけで、声を出せないという人も多い。

大声を出せば殺すなどと犯人は脅したそうだが、実際には、言いなりにおとなしくなる 「 子羊ちゃん 」 のほうが、殺されてしまう率は高い。

反撃まではできないとしても、大声を上げたり、暴れて抵抗するほうが犯人は手強く感じるし、周囲の乗客に異常を知らせる効果も高い。

被害を受けつつ黙っていても、待っていれば必ず誰かが助けてくれるような国なら、学校で陰湿なイジメが続いたりするわけがないではないか。

助けてくれない周囲を 「 酷い 」 と愚痴りたくなる気持ちもわかるが、まずは被害者自身が自分の身を守る術を、少しは身に付ける必要がある。


もし自分がそこに居合わせたなら、「 そんな野郎はぶっ飛ばすぜ 」 とカッコよく言いたいところだが、おそらく実際には 「 状況次第 」 である。

たとえば、犯人が 「 アーネスト・ホースト 」 みたいな男だった場合、そこへ突進していくのは効果的でないし、たぶん何の助けにもならない。

むしろ、こっそりと通報ブザーを押しに行くほうが、カッコよくはないけれども被害者を救える率は高く、よっぽど役に立つだろう。

知らせを受けて駆けつける車掌が、私より喧嘩慣れしている可能性は低いと思うが、日本人は大抵 「 制服に弱い 」 ので犯人が立ち去りやすい。

少なくとも、味方が増えるわけだし、車掌は鉄道警察に連絡するし、車掌の目前で暴行を続けることなどないと思われる。


犯人が自分と同等か、それ以下の体格であっても、いきなり殴りかかったりすることはしないほうがよい ( するかもしれないが )。

ぱっと見て 「 強姦魔と被害者 」 に見えても、実は 「 恋人間の痴話喧嘩 」 かもしれないし、その場合、いきなり殴ったら傷害罪に問われる。

たぶん今の私なら、普通に 「 どうかしましたか 」 と話し掛けて、相手を刺激しないように事情を把握しようとするだろう。

この場で 「 大声で相手を威嚇する 」 のは愚の骨頂で、いたずらに犯人を興奮させて収拾がつかなくなる危険がある。

凶器でも持っていた場合、自分の身は守れても、近くにいる被害者が切り付けられたりしたなら、取り返しのつかないことになる。


犯人に声を掛けるということは、「 説得できなかった場合には、腕力勝負になる 」 という覚悟が必要だということを、自覚しておくべきだろう。

経験上、喧嘩は 「 先手必勝 」 であることに間違いなく、最初のダメージを与えた方が圧倒的有利になることを知っている。

ならば、相手を威嚇して暴れさせるより、柔和に近づいて急所に蹴りを入れたほうが、制圧できる公算が高い。

たとえ制圧をできなくても、揉み合っている間に被害者を逃がせるし、他の乗客が車掌を呼びに行く機会もつくれるから、この方法が最善だろう。

友達同士の喧嘩じゃないから、かなり 「 汚い手 」 も使えるし、被害者さえ逃がせば、自分もダッシュで逃げたってかまわないのである。


一番大事なことは、自分がヒーローになることではなくて、被害者と犯人を引き離すことであって、カッコいい、カッコ悪いは、どうでもいい。

敵に殴りかかる勇気などなくても、こっそり通報ブザーを押すだけでいいのだから、誰でも問題解決に参加することができるのである。

近頃に多い 「 鬱の人 」 などは、自分の言いたいことが言えないから鬱なのであって、犯人に声を掛けたり、威嚇したりすることが難しい。

そういう人の場合、犯人に声を掛けることが、殴りかかる以上に難しいけれど、それでもブザーを押しに行くぐらいはできるはずだ。

虚勢を張って 「 ライオン 」 に憧れなくても、「 羊 」 のできる精一杯を努力することで、皆が助け合える社会は実現可能だろう。






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