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2007年04月18日(水) 銃社会アメリカの悲劇



「 銃が人を殺すのではない。 人が人を殺すのだ 」

                                 全米ライフル協会

Guns don't kill people. People kill people.

                         National Rifle Association



この表現には少し無理があって、名言というよりは 「 迷言 」 だ。

道具を使うのは人間だが、道具自体も無軌道に放つわけにはいかない。


バージニア工科大学で銃の乱射事件が発生し、自殺した犯人を含む33名が死亡するという、未曾有の凄惨な悲劇が伝えられた。

アメリカには、銃愛好家の市民団体 「 全米ライフル協会 ( 通称:NRA ) 」 があって、このような事件が起きると必ず注目を浴びる。

この団体は、銃器を撤廃しようとする人たちからは 「 好戦的な集団だ 」 と白眼視され、特に今回のような事件が起きるとバッシングされている。

ところが、銃規制に関する法案などが提出されると、容易に妥協することが多いために、意外と銃器産業界などからも疎まれている側面を持つ。

なんだか立場のはっきりしない団体なのだが、約400万人の会員数を保持しており、「 銃社会アメリカ 」 を語るのに不可欠な存在である。


冒頭の言葉は NRA のスローガンで、銃そのものを規制するのではなく、所有者への啓発活動を強化することが、悲劇を防ぐ手段だと信じている。

あまり知られていない話だが、合法的に銃を所持しやすい国はアメリカだけでなく、カナダやスイスも比較的簡単に購入できる仕組みになっている。

実際に、国民一人あたりの銃保有率でいうと、スイスのほうがアメリカよりも高い数値になっていて、伸び率もスイスのほうが高い。

ところが、カナダやスイスにおいては、銃による事件や犯罪がアメリカほど頻繁に発生していないわけで、NRA はそういった点を指摘する。

すなわち、「 銃の数ではなく、扱い方に問題がある 」 との意見で、たしかに一理あるような気もするが、腑に落ちない点も多い。


小型の拳銃を保有するアメリカ人の大半が、その目的を 「 護身用 」 と答えるのだけれど、その効用については実に疑わしい。

ごく稀に、「 強盗を撃退した 」 とか、「 強姦されそうになったが助かった 」 などという話も聞くが、失敗談を聞く機会のほうが圧倒的に多い。

家で手入れをしていて暴発したとか、子供が持ち出して誰かを撃ったとか、犯人を撃退しようとして逆に銃を奪われたとか、そういう類の話である。

現地に住んでいた頃、所持を勧められたこともあるが、慣れない者が扱うと、かえってロクでもない結果に陥りそうなので、丁重にお断りした。

それに、多少の体格差があっても、血の気の多い頃だったから、接近戦なら負けないという自信があったので、その必要を感じなかったのである。


日本の警察官がアメリカを視察すると、「 民間人が銃を持っている社会 」 に対する危惧を、大抵は実感して帰るのだという。

逆に、外国人の犯罪者は日本に対し、「 一般家庭に銃がないので、とても仕事がしやすい 」 と感じているらしい。

アメリカという多国籍社会と、単一民族に近い日本の環境は違うし、素手で戦うことに自信のある者と、非力な人とでも、銃に対する意識は異なる。

銃に対しては様々な意見があるけれど、全世界的に、精神を病んだ人間が増え、何人たりとも人権が尊重される世の中である以上、銃は危険である。

つまり、「 銃は規制できるが、狂人の行動はコントロールできない 」 わけだから、銃を撤廃するしか悲劇を防ぐ手立てはないだろう。






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