Tonight 今夜の気分
去るものは追わず、来るものは少し選んで …

2007年02月25日(日) 危険なバスツアー



「 ここに運転を習いにくる人はいませんよ。

  運転免許証だけを取りにくるんです 」

                 ジャック・ラビオ ( パリの運転教習所経営者 )

People don't come here to learn to drive.
They come here to get a driver's license.

                                 Jacques Rabio



喫煙しない人の多くが、煙草は迷惑な代物だと認識している。

それと同様に、自分で運転しない人の多くが、車は公害の元凶と考える。


いまさら 「 焼け石に水 」 かもしれないが、地球温暖化や大気汚染などの環境問題を少しでも和らげるため、世界中が環境保護の努力をしている。

それは結構なのだが、ご自分が運転しないからといって、排気ガスを出す自動車を敵視したり、諸悪の根源のように語る人たちには辟易する。

たとえ運転しない生活をしていても、その人たちが普段の生活で利用する食品や、生活用品の大半は、トラックなどによって陸送されたものだ。

あるいは、バスやタクシーに乗って移動する場合にも、それなりの排出ガスが伴うわけで、自家用車を持たなくても、環境への関与に無縁ではない。

つまり、現代生活において 「 車のない生活 」 は考えられず、よほどのことがないかぎり、文明を逆戻りすることなど誰も望んではいないのである。


現在は二台だが、少し前までは三台の車を所有していた私に対し、たまに理不尽な言いがかりをつける 「 自称 : 環境オタク 」 の御仁がいた。

彼によると、「 排気ガスをばら撒く大型自家用車を、複数台も走らせるとはけしからん 」 のだそうである。

現実には、たとえ所有している車が一台だろうと百台だろうと、一人で一度に二台の車を運転できるわけではないから、環境への影響は同じだろう。

それを指摘すると、今度は 「 自家用車をやめて公共交通機関を利用しろ 」 と論点をすり替えてくるのだが、私自身は電車もよく利用している。

状況に応じて電車が便利なら使うし、車が便利なら使うし、近くなら歩くし、持っている自家用車の台数と公害への関与は、必ずしも同じではない。


私があまり利用しない乗り物は 「 バス 」 で、バスに乗るぐらいならタクシーか、自家用車を使うので、ここ数年は利用した記憶がない。

JR の駅には 『 日帰りバスツアー 』 や、『 スキーバス 』 などのポスターが貼られていて、価格的には割安感があるけれど、利用したことはない。

こういった長距離バス、路線バスなどの多くが、実は 「 過労運転 」 の温床となっていて、悲惨な事故を招く危険を孕んでいるらしい。

厚生労働省による立ち入り調査の結果、調査した118社のうち85社が、労働基準法、労働安全衛生法に違反しており、行政指導を受けたという。

運転手には、労働時間 ( 週40時間 )、1日最大拘束時間 ( 16時間 )、連続運転時間 ( 4時間 ) などの規定があるが、多くが遵守していない。


毎年のように、バスによる転落事故、追突事故などが発生し、その原因は 「 運転手の居眠り 」 と、あたかも運転手の過失であったように報じられる。

その裏側には、法規制を無視し過重労働を課したバス会社の責任があり、前述の調査や内部告発によって、その実態が明らかになってきた。

なかには、公休を返上して一ヶ月間に一日しか休みが与えられなかったり、平均睡眠時間が5時間以下といった環境で働かされている例もあった。

事業者によると、その背景には規制緩和によって貸しきりバス事業者の数が急増し、厳しい価格競争と運行時間の短縮競争があるという。

利用する側にとっては、内容が充実していて、安くて早く着くサービスを望むことも頷けるが、それは安全を前提としたうえの話である。


昨年来、問題になった耐震偽装事件や、このバス事業者問題など、熾烈な販売競争の影で、安全が疎かになり置き去りにされる事件が増えている。

私が子供の頃の日本 ( 昭和30〜40年代 ) は経済の高度成長期で、発展のためには従業員の過重労働や、公害もやむなしという風潮が強かった。

それが一段落し、国民の健康や、環境に留意する余裕が出てきたはずなのに、いつの間にか “ あの時代 ” に逆戻りしている気がしてならない。

高度成長期と異なる点は、当時、たとえ建前でも 「 国家の発展 」 を旗印に掲げていたのに対し、いまは 「 利己的な損得 」 に追われているところだ。

今後、厚労省の調査結果などもオープンにして、利用者が価格だけでなく、事業者の 「 安全性 」 も見極められる仕組みにすることが望ましいと思う。






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