「 問題を解決するには、コミュニケーションによるほかはない 」
サー・デビッド・アッテンボロー ( イギリスのナチュラリスト、テレビ作家 )
The only way you're going to solve problems is by communication.
SIR.DAVID.ATTENBOROUGH
俳優、映画監督で有名な 「 リチャード・アッテンボロー 」 氏の弟である。
斬新な教育番組を制作した功績を認められて、85年に爵位を叙された。
この言葉通り、日々の生活において「 コミュニケーション 」 が占める役割は大きく、たった一人、無人島にでも住まないかぎり、避けては通れない。
世の中には、自分の思いを上手く相手に伝えられない人や、仮に気持ちが伝わっても、相手に快く理解させるのが苦手な人もいる。
それを叶えるには 「 表現力 」 とか 「 伝達力 」 というものを要するのだが、それらをまとめて 「 コミュニケーション能力 」 と呼ぶ場合もある。
あるいは、もっと簡潔に 「 対人能力 」 とも呼ばれる。
携帯電話やインターネットの普及で、道具としてのコミュニケーションツールは発達したものの、現代人の対人能力が向上したかというと疑問である。
一般的に、「 非言語的な表現 = ノンバーバル・コミュニケーション 」 は、「 言語的な表現 = バーバル・コミュニケーション 」 以上に意味がある。
文字で示しただけでは表れない、相手の話し方、表情、目つき、態度、姿勢などには、多くの 「 心理的メッセージ 」 が含まれている。
電話や、メールのやりとりだけでは伝わらない、相手の 「 心を聴く 」 というところに、実は 「 コミュニケーションの重要性 」 が潜んでいる。
実際に会って話をしても、相手の発信する一連の 「 サイン 」 に気付かないようでは、円滑な人間関係、信頼関係を構築することが難しい。
誰からも教えられなくても、それが最初から出来る人と、いくら注意を促しても出来ない人があり、それは対人能力というより 「 センス 」 の違いだろう。
対人能力を高めたければ、「 話す能力 」 より先に 「 聴く能力 」 について、まずは優先的に磨くことが上達の近道である。
温かく相手を受け入れるような雰囲気で視線を向け、表情を観察しながら 「 あなたに関心をもっていますよ 」 という サイン を送りつつ、話を聴く。
会話の最中は、うなづいたり、適度に相槌をうちながら聴く。
話の内容に合わせて、「 大変だったね 」、「 さぞ辛かったろうね 」、「 それは嬉しかっただろうね 」 などと、共感的な表情、態度、言葉で接する。
相手に賛同したり、認めたり、是認をし、支持をする。
この一連の流れ 「 アイコンタクト → 共感 → 支持 」 が、相手の心を開き、素直に話させるためには効果的であると、心理学では実証されている。
支持的フィードバックや励ましを与えることで、話し相手は 「 I am OK 」 の 「 肯定的自己概念 」 を次第に形成できるようになっていく。
相手は、前向きに問題を捉えたり、解決しようという姿勢が生まれる。
根気のいる作業だけれど、ここまでやると、相手は 「 自分の話をわかってもらえた安心感 」 を持ち、気持ちが落ち着くことが多い。
その結果、こちら側が真剣に聴き、正しく 「 自分を理解してくれた体験 」 を相手に与えることで、こちらに対する相手の信頼感が芽生える。
最初に 「 この体験 」 をしておくと、こちら側から話す内容について、相手が素直に聞き入れてくれる率は、ぐんと高くなる。
相手の意見を否定したり、話の腰を折るのは、その後にしたほうがいい。
商品を販売するときも、異性を口説くときも、出会ってすぐ 「 この体験 」 を持つことが、成功の鍵にもなり、円滑なコミュニケーションの礎ともなる。
話下手な人でも、この 「 心を聴く 」 という作業を積極的に心がけることで、相手と打ち解けたり、仲良くなれる公算が大きい。
ただし、これは 「 出会って間がない 」 相手でなければ成功率は低いので、自分に対する固定概念や先入観の完成する前に、試したほうが望ましい。
|