Tonight 今夜の気分
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2005年02月16日(水) 小学校を異常者から守る方法



「 解決策がわからないのではない。 問題がわかっていないのだ 」

         G.K.チェスタートン ( イギリスの評論家、小説家、詩人 )

It isn't that they can't see the solution.
It is that they can't see the problem.

                             G.K.CHESTERTON



どうすれば、小学校を 「 絶対に安全な場所 」 に出来るのか。

寝屋川の事件を経て、全国の学校関係者は頭を痛めているだろう。


正常な大人は、小学校へ 「 包丁を携え、誰かを刺しに 」 は行かない。

だから、「 正門に鍵が掛かっていれば入らないだろう 」 とか、監視カメラが整備されているから 「 躊躇するだろう 」 という推論は、あまり意味が無い。

これらの 「 だろう 」 は、守る側の期待通りに犯人が行動するという予測が前提になっており、それは 「 正常な大人 」 を対象に考えられている。

金品が目当ての場合や、犯行後、正体を明かさずに逃走したい犯人には有効かもしれないが、いま問題になっているのは、そんな犯人像ではない。

後先のことなど考えず、「 とにかく誰かを刺したい 」 と衝動的に飛び込んでくる 「 狂気 」 から、生徒や職員を守るにはどうすればいいのか。


先に結論を述べると、小学校の建物を 「 絶対的に安全な場所 」 に改修することは、現実問題として 「 不可能 」 である。

もちろん、費用や、人的投資を無尽蔵に行えば可能ではあるが、すべての公立小学校に対して実施できるわけがない。

つまり、これからも各小学校では 「 安全対策 」 を強化していくのだろうが、外敵の侵入を完璧に阻止できる公算は少ない。

それに、たとえ建物や、その警備に大金を投じて 「 要塞 」 のような小学校を建立したところで、子供たちの安全が保障されるとはかぎらない。

建物を要塞化し、侵入を絶ったところで、門から一歩出たところを待ち伏せされ 「 ブスリ 」 とやられれば、ほとんど同じことである。


最近の、子供を狙った事件には、大抵 「 異常者の影 」 が潜む。

昔のように、子供を誘拐して身代金を親から奪おうとか、そういった営利を目的とする事件は、どちらかというと少ないようだ。

むしろ、それよりも 「 営利が目的ではない事件 」 の方が多い。

つまり、金品への関心からではなく、性的、暴力的な虐待を加えたり、あるいは、人生に絶望した犯人に 「 道連れ 」 にされてしまうような事件だ。

今週、寝屋川市の小学校に侵入し、職員を殺害した少年も、曖昧な供述を語り始めているらしいが、精神が 「 正常 」 とは判断し難い。


池田市の児童殺傷事件と、今回の事件は 「 小学校内で事件が発生 」 したという ショッキング な共通点があり、どうしても比較される。

でも重要なことは、それが 「 学校の敷地内か、外か 」 といった問題よりも、生徒や職員の安全が保てるかという部分であることを、忘れてはならない。

なかには 「 空港のように、金属探知ゲートを取り付けては? 」 などという荒唐無稽なアイディアを語る先生もいたが、本当にそれで安全なのか。

もし、そのようなゲートを実際に設けるのなら、学校の正門ではなく、学校を囲む 「 登下校エリアの境界線 」 に配備しなければ意味が無い。

不審者が、校内ではなく 「 登下校圏内 」 に侵入した時点で警報を発令し、警察と連動した 「 早期警戒システム 」 を作動させねば間に合わない。


ここからの話は、少し 「 差別 」 や 「 偏見 」 と受け取られるかもしれないが、「 現実問題として、避けては通れない 」 と感じる事柄である。

私自身も カウンセラー として、中には、心の問題を抱える人たちの相談に乗ったり、精神面でのサポートもしているが、大半は 「 異常者 」 ではない。

しかしながら、差別を撤廃し、仲間に入れてあげたくても、どうしても社会に順応できなかったり、他人を傷つけてしまう 「 異常者 」 も世間にはいる。

現在、「 性犯罪者の住所を公開する必要性 」 が討論されているけれども、では、「 前科の無い異常者 」 については、どう対処していくのか。

個人の病歴は 「 守秘義務 」 によって保護され、それを言及すると差別に直結するのも事実だが、かといって 「 放置 」 することが ベスト なのか。


まだ人を刺してもいないし、幼児に下半身を押し付けてもいないが、そのような衝動を露にしたり、犯行を予告するような行動をする者がいたとする。

彼らの行動を制限することには、「 人権上の問題 」 がある。

しかし、自分の子供が通う登下校圏内に出没し、「 犯罪 」 として取り締まるほどではない 「 奇怪な言動 」 を繰り返した場合、親御さんは心配だろう。

たぶん、人権団体や、各種団体の猛反対に遭って 「 法制化は不可能 」 だと思うが、「 異常者を識別し、児童に近づけない機能 」 を望む声もある。

相手が誰であっても、個人の人権は尊重されるべきだし、かといって、現実的な危険から児童を守りたいし、なかなか難しい問題である。


ある意味、現在の社会は、「 刑務所、病院 」 といった厚生施設と、それら以外の一般社会に 「 二分化 」 されていて、その中間が無い。

一般社会の中でも 「 学校のある地域 」 というものに、別の限定を加える。

たとえば、「 この人は、刑務所にも、病院にも入らないで良いけれど、このエリアにだけは入らないように 」 という仕組みが、あっても良い気がする。

アパルトヘイトみたいに、住宅地を差別的に色分けするのではなく、各地区の小学校から半径○km以内といった具合に、立入禁止枠をつくるのだ。

そのぐらいしないと、「 少子化が進行する速度 」 と、「 異常者が増殖する速度 」 のバランスからみて、今に子供を見かけなくなるかもしれない。






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