Tonight 今夜の気分
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2005年02月09日(水) なぜ市民は怒っているのか



「 良心の問題に関しては、多数決の法則は適用されない 」

                   モハンダス・ガンジー ( インド建国の父 )

In matters of conscience, the law of majority has no place.

                                 M.K.GANDHI



子供の頃から、彼の名は 「 マハトマ・ガンジー 」 だと思い続けていた。

マハトマは 「 偉大なる魂 」 という意味の通称で、本名は違うのだという。


とても極端な話をすると、「 アホな人が99人、賢い人が1人 」 という環境の中で多数決を取り、その結果が 「 99対 1 」 だったとする。

その場合、「 99の意見 」 を採用すべきか、「 1の意見 」 に従うべきか。

事柄にもよるが、よほど支障がないかぎり私は、「 99の意見 」 を採用することが望ましいと思っている。

少数意見を無視してよいわけではないが、多数決の採択は 「 民主主義の原則 」 であって、民意を尊重するにはそれが一番の方法でもある。

それに 「 99対 1 でアホな人が多い国 」 は、「 アホのための国 」 であり、アホの望む採択を選ぶことがなによりの良策ではないか。


ただし、「 一億の常識人が居る国の中にある、アホ4万人の団体 」 の中において、「 3万9千人の意見だから採択してよい 」 とは認められない。

大阪市は現在、「 市職員の厚遇問題 」 で揺れている。

昔から彼らは市民グループから、ヤミ年金や、スーツの支給、私的な飲食に伴う公費支出などについて、抗議や、場合によっては訴訟を受けてきた。

他の自治体でも似たような話はあるが、普通は、公費乱脈問題が発覚するたびに改革が行われ、少しづつ改善、浄化されていくものである。

ところが彼らの場合は、まったく反省の色も、改善の形跡も見当たらない。


それで大阪市側は、「 総額年180億円分の、福利厚生や手当てに関わる10項目の削減案 」 というものを提出することになった。

たとえば、民間では考えられない話だが、「 団体生命共済への掛け金 」 を公費負担 ( 約7億円相当 ) していたのをやめるとか、そういう話である。

すると、市職員の七つの組合でつくる 「 市労働組合連合会 ( 約4万人 ) 」 が烈火の如く反発し、過去の労働条件を正当化しようと争い始めた。

それに対して市民グループをはじめ、一般市民からは批判が飛んでいる。

組合側からは 「 事前の根回しが無い 」 などと、筋違いな意見が多くみられ、この ゴタゴタ は当分、簡単には収まりそうにない。


彼らを 「 アホ 」 とは思わないが、「 身勝手で世間知らず 」 だとは思う。

たしかに、既得権益を奪われるのは困るということも実情だろうが、それは 「 今までより苦しくなる 」 のではなく、「 今までが間違っていた 」 のである。

制服として使うという名目で 「 プライベートの時も着れるスーツ 」 を公費で賄ったり、そういうことは 「 民間企業ではあり得ない話 」 なのだ。

自分たちの待遇を主張する前に、「 なぜ、市民から強い批判を浴びているのか 」 という疑問を、持たないことに問題がある。

自分たちが 「 常識 」 と思い込んでいる内容が、世間の 「 非常識 」 であるならば、その溝を埋めようと努力するのは当たり前のことであろう。


また、この問題以外にも大阪市は、理解しがたい 「 変 」 な実態が多い。

たとえば、大阪市には 「 逓送便 」 という制度があり、77人の職員がこれに当たり、年間約5億8千万円の人件費を割いている。

なにをするのかというと、各部局から持ち込まれる書類を、それぞれの職員が宛先まで、ハンドキャリーで配達に出向くのである。

電子メールが一般化した昨今、しかも対外的に大阪市は 「 電子自治体 」 などとアピールしている一方で、非効率で、時代遅れなことをやっている。

大事な情報が含まれるとか、大義名分はあるのだろうが、他にもっと良い方法はあるはずで、江戸時代じゃあるまいし 「 飛脚 」 を使うことはない。


閉ざされた特殊な環境の中でしか通用しない 「 独自の慣習 」 が、世間のそれとは隔たりのある価値観や、倫理観、金銭感覚のギャップを生む。

そこに順応した人々には、罪悪感などなく 「 なにがいけないのか 」 本当にわからなくなっており、それを周囲から指摘されても判断がつかない。

過去もずっと 「 それでやってきた 」 という固定概念を打破できず、伝統的な 「 ならわし 」 なのか、それとも悪習なのかさえ、まるで理解が及ばない。

解決策は、「 下界を眺めてみる 」 ことである。

世間の感覚がどんなものであるのか、目からウロコも落ちるはずで、早くしないと 「 財政難を克服する気があるのか 」 と、市民から信頼を亡くす。






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