「 じっと目を見れば、真実と美とコンタクトレンズだけでなく、
能力の有無も見えてくるものだ 」
ローレンス・J・ピーター ( 教育学者 )
Competence, like truth, beauty, and contact lenses, is in the eye of the beholder.
LAURENCE.J.PETER
昔から、「 目は口ほどにものをいう 」 などと言われてきた。
たしかに、100%とは言い切れないが、そういう傾向は強いように思う。
たとえば、その人物に 「 覇気があるかどうか 」 という判断は、目の印象によって左右されることが多いようだ。
また、過去の経験や能力を尋ねたときの 「 目の輝き具合 」 を見て、それに対する自信の有無を確認したり、ある程度の能力判断に利用できる。
稀に、仕事相手などに対して 「 人の目を見て話せない 」 という極度に内気な人もいるが、こういうタイプはコミュニケーション能力が低いとみなされる。
企業の採用面接では、「 圧倒的な不利 」 となるので改善も必要だ。
特にコミュニケーション能力の高さを要求されない職種でも、そういう人物を 「 同僚として迎え入れたい 」 と思う人は少ないので、落とされやすい。
別に、整形手術まで施す必要はないが、大事な場面では 「 目 」 の状態を最適に保ち、良好なコンデションで臨むように努めたい。
寝不足とか、前夜の深酒で 「 目が充血している 」 なんてことでは、相手に良い印象を与えることが困難で、いささかマナーにも反する。
甘ったるい 「 トロンとした目 」 も、夜にはセクシーに映るかもしれないが、ビジネスの場面で相応しいとはいえない。
視線は、基本的に相手の 「 顔 」 に集中させるが、あまり見つめすぎると息苦しくなるので、キョロキョロしない程度に若干の分散をさせる。
相手との距離にもよるが、先方の 「 ネクタイの結び目 」 あたりを凝視しつつ、大事なポイントでは、しっかりと相手の目を見つめるぐらいが良い。
できている人にとっては 「 当たり前 」 の作法だが、これができないという人もいて、現在、四苦八苦しながら指導をしている。
50歳近い年上の人で、本人は 「 しようとしている 」 らしいが、相手と目が合うと逸らしてしまったり、うつむいてしまったりして上手くいかない。
これでは、企業の面接官に良い印象を与えることができないので、先輩のカウンセラーにも協力してもらって、毎週、特訓を繰り返している。
赤面するわけでもなく、言葉は快活に発するのだが、顔を上げられない。
あの手、この手で試してみたり、専門家の 「 心理カウンセラー 」 に相談したりしているが、いまのところ解決の糸口が見つかっていない。
こういった 「 病気というほどではない 」 程度の 「 他の人と同じようにできない悩み 」 を抱えた人たちが、相当数、就職できずに困っている。
私を含めて、カウンセラーといえども、元は営業畑出身の者が多く、ずっと 「 出来の悪い人は置き去られる 」 という前線で働いてきた経緯を持つ。
根気よく、気長に彼らと向き合うのは、けっこう骨の折れる作業だ。
企業のコンサルタントとしては、「 省力化 」、「 過剰、不要人員の整理 」 を推し進め、産業カウンセラーとしては、彼ら個人の再就職を支援する。
そのあたり、若干の矛盾や戸惑いを感じつつも、企業の再生と個人の救済に励み、関係者全員がハッピーになれるよう、精進する毎日である。
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