2005年01月31日(月) |
韓国とは仲良く、中国とは距離をおいて |
「 ライオンとドラゴンもし戦わば、両雄ともに死す 」
足立 正 ( 日本商工会議所会頭 )
If the lion and dragon fight, they will both die.
TADASHI ADACHI
世界経済フォーラム年次総会は30日、5日間の日程を終えて閉幕した。
関心はもっぱら、「 中国経済の動向 」 に集中していたらしい。
旧ソ連の崩壊は、同時に 「 米ソ冷戦 」 の終焉でもあり、平和を願う人々の夢を叶え、当時は、手放しで喜ぶべき歴史的瞬間にさえ思えた。
ところがそれは、経済面でも、軍事面でも、世界情勢に思いがけない変革をもたらし、意外な副作用を及ぼし始めている。
大国同士が睨み合うことをやめた途端に、抑圧を解かれた小国が暴走したり、あるいは内乱が勃発したり、始末におえない事態も目に付く。
仮想大敵を失ったアメリカは、世界から 「 一国支配 」 のように恐れられ、また、煙たがられている。
実際には、それだけの支配力も強制力もないのだが、かといって、他国の窮状に 「 知らん顔 」 もできないという現実がある。
戦争の 「 是か非か 」 を問えば、それは 「 非 」 ということになるのだけれど、実際はそんな単純な話でもない。
誰だって 「 好きで戦争をやってる 」 わけじゃなく、過去の日本もそうなのだが、「 やらざるを得ない理由 」 がそこにはある。
結果論としては、「 やめときゃよかった 」 こともあるだろうけど、開戦前には未知数の事柄や、「 やめどき 」 を失ってしまうこともある。
また、そんな 「 損得勘定 」 を度外視しても、戦わねばならぬ場合もある。
世界秩序の安寧は、いまや当該地域だけの問題でもなく、良くも悪くもその行方は、アメリカの双肩にかかっている負担が重い。
アメリカが非効率な支出に翻弄されている一方、めきめきと経済力を蓄え、自由経済のありがたみを覚え始めたのが 「 中国 」 である。
ソ連の失敗を間近に見てきた彼らは、共産主義の看板を掲げつつも、過去にはない柔軟さをもって政策に取り組み、目ざましい成果を示している。
かねてより軍事力においては、けしてアメリカにひけをとらぬ大国が、経済においても合理性を追求してきたのだから、これは 「 脅威 」 である。
おそらくは、経済が発展し続けると、現在のような共産主義的支配構造にも変化が現れ、国民の意識も変わり、求められる指導者像も変わるだろう。
しかしながら、距離的な問題よりも、歴史的背景、民族的気質などの違いから、彼らには彼らの政策があり、どこかで西欧と交わらない可能性は高い。
さらなる発展を遂げた後の 「 中国 」 が、世界の中でどのようなポジションを得ようとしていくのか、まだまだ不明な点が多い。
低い賃金を売り物にしていた、いわゆる 「 世界の工場 」 という立場はすぐに過ぎ去り、特定の分野においては主導的役割を担い始めるはずだ。
日本と違って 「 軍隊 」 を保持している環境から、アメリカと衝突する危険も十分に考えられるだろう。
見方によっては、「 靖国問題 」 やら 「 台湾問題 」 などについても、日本をけん制しながら 「 アメリカの反応 」 を確かめている可能性もある。
いづれにせよ、彼らが現在の 「 団結 」 を維持しながら、経済力を増していくことは、アジアの支配権のみならず、世界情勢に大きな影響を与える。
日本が対抗して 「 軍備 」 を拡充することは難しく、彼らの 「 伸び率 」 以上に経済面で巻き返すことも不可能に近い。
かといって、民主党が推進しているような 「 中国のご機嫌とり 」 をしてみたところで、彼らが恩義を感じて一歩退いてくれるとも思えない。
ならば、韓国と協調してアメリカに組するしか手立てがないのだが、左寄りの文化人や、「 アメリカ嫌い 」 の連中が常に反目する。
最近、そういう連中が日本を 「 破滅 」 に導いていく不安を感じる。
将来の世界情勢を鑑みると、「 韓国とは仲良く、中国とは距離をおいて 」 付き合うのが正攻法のように思うのだが、どうなのだろうか。
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