「 求めなさい、そうすればあなたに与えられます。
さがしなさい、そうすれば見つかります。
ノックしてみなさい、そうすれば門はあなたに向かって開かれます 」
聖書
Ask, and it shall be given you; seek, and ye shall find: knock, and it shall be opend unto you.
THE BIBLE
冒頭の名言は、新約聖書 「 マタイによる福音書 」 の一節から。
文中の [ ye ] は、[ you ] の古い形である。
粗鋼関連などをはじめとして、徐々に景気の良い業種が現れはじめた。
まだまだ安泰には程遠いが、失業率も改善され、多少は持ち直している。
しかしながら、新卒者を取り巻いている就職環境は、あいかわらず厳しく、彼らにとって寒風が身にしみるのは、気候のせいだけでもなさそうだ。
なかでも、「 短大生 」 の平均就職内定率が極めて低い。
その一因は、短大の学生が多く希望する 「 事務 」 や 「 販売 」 などの職種に、パートや派遣社員への切り替えが進み、採用が減っているせいだ。
前回も書いたが、「 派遣社員という制度 」 は、一部企業の効率化を推進するけれども、社会全体の雇用に影響を及ぼす 「 両刃の剣 」 でもある。
しばらくは、特に 「 短大生 」 にとって、受難の時代が続くだろう。
ある中国地方の短大では、10月末時点での平均就職内定率が、全体の 「 二割程度 」 しかなく、五人に一人しか就職が決まらない状況だという。
この実情を知らずして、「 最近の若者はフリーターで満足する者が多い 」 だとか、労働意欲が足りないなどの 「 若者バッシング 」 をする人もいる。
たしかに、怠け者の存在が皆無ではないが、いくら働きたくても目の前の 「 狭き門 」 が固く閉ざされ、身動きもできない学生の姿が多く目立つ。
希望する職種が 「 狭き門 」 のため、夢を諦めたり、現実と向き合って妥協しながら、軌道を修正して別の職種に就く若者もいる。
その副作用として、就職はしたけれど短期間ですぐに退社してしまうという 「 若年就労者による定着性の低さ 」 が、別の問題として浮上しはじめた。
周囲の大人たちは、すぐに辞める若者に対し 「 もっと、本当にやりがいを感じられる仕事を選びなさい 」 と、彼らの判断力を批判する。
ところが、やりたい仕事に固執して、なかなか内定の決まらない若者には、「 ぜいたくばかり言ってないで、とにかく働け 」 と、まるで逆のことを言う。
社会や企業体は、若者たちに 「 苦難 」 と 「 重圧 」 だけを与え、かつてはあったはずの 「 就職口 」 と、明日への 「 希望 」 を奪っている。
こんな状態で、若者たちの 「 勤労意欲 」 が上がるはずもなく、大学の卒業が目の前に迫った今となっては、もはや 「 グレる 」 にも遅すぎる。
少子化の進む世の中で、希少な若者たちには我々以上に頑張ってもらい、これから負担の大きくなる 「 年金 」 の原資を、担ってもらわねばならない。
それなのに、この 「 扱い 」 はいかがなものか。
こんなに若者をイジメておいて、将来は 「 年をとったから面倒をみてくれ 」 なんて頼むことが、はたして許されるのだろうか。
老人問題や、高齢者の雇用促進などばかりに焦点を当てず、若者に夢と、働き甲斐のある就職環境を整備することに、政財界は注意を払うべきだ。
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