Tonight 今夜の気分
去るものは追わず、来るものは少し選んで …

2005年01月21日(金) セクハラ をする経営者



「 どこにでも、少なくとも一人はいるはずだよ。

“ 狂うんじゃないか ” と恐れている経営者がね  」

                          ジョセフ・ヘラー ( 海軍軍医 )

I think in every country that there is at least one exective who is scared of going crazy.

                              JOSEPH HELLER



昔から、「 天才と狂人は紙一重 」 などと言われている。

優れた頭脳も、ちょっと歯車が狂えば、とんでもない行動を起こす。


週間文春によると、西武グループ総帥の 「 堤 義明 氏 」 が、元五輪代表スケーターの 「 渡部 絵美 さん 」 に、セクハラを行っていたという。

本人の弁明を聞いていないので真偽のほどは明らかでないが、もし事実だとすれば、これは忌々しき大問題である。

先日も、同グループ系の 「 プリンスホテル 」 支配人が、社員旅行の際に同席した女子社員に対するセクハラ行為が、発覚したばかりだ。

また、ダイエー系企業の幹部が、「 強制わいせつ 」 の罪で告発され、本人も起訴事実を認める供述をしている。

民間企業ばかりでなく、青森の知事、信大の教授、北海道警察の警部も、セクハラ行為に対する告発を受けており、まことに遺憾の極みである。


彼らの行為は紛れも無い 「 性犯罪 」 であり、それぞれに厳しく罰せられるべきだと思うが、犯行に及ぶ経緯において、普通の性犯罪者とは異なる。

おそらく彼らに 「 権力 」 という アイテム が無くて、他人への影響力を持ち合わせていなかったら、そのような行為に及んだ可能性は低いだろう。

一般的な性犯罪者とは違って、衝動的な性欲にまかせ、通りすがりの女性を襲うような凶暴性も、度胸もなく、ごく普通の生活を営んでいたはずだ。

だからといって、許されたり、罪が軽減されるわけではなく、むしろ、そのような行為が悪質で、忌むべきものと知っていただけに 「 重罪 」 である。

きっと、部下には 「 セクハラは慎みなさい 」 と訓示をたれたりしていたはずで、まことに許しがたい犯行であるといえる。


先日の日記の続きみたいになるが、彼らの罪状もまた 「 思い上がり 」 の延長であり、身の程を知らない愚かさが招いた結果でもある。

組織のピラミッドにおいて、上のほうに立つと 「 王様 」 のような気分になるものだが、それで 「 偉い人間になったような錯覚 」 を起こしてはならない。

あくまでもそれは、「 組織上の役割分担 」 であって、社長なら社長の仕事、課長は課長の仕事をしなさいという 「 業務分掌 」 にすぎないのである。

小さいけれど私も、自分の会社を持っていて、可愛い従業員もいる。

私は役職で呼ばれるのが嫌いなので、皆 「 社長 」 とは呼ばず名前で呼ぶし、私も彼らのことを、けして 「 ○○ くん、○○ ちゃん 」 とは呼ばない。


特に、セクハラがどうこうという話ではなくて、普段から部下や従業員のことを、自分よりも 「 目下、格下 」 だと考える思想に問題がある。

関西では、上級職の人を 「 偉いさん 」 などと言ったりするが、働きもしない上司より、有能で行動的な部下のほうが 「 偉い 」 に決まっている。

もちろん、職務上 「 命令 」 を下すことはあるが、それは 「 偉い 」 からではなく、あくまでも仕事の一部なのである。

ましてや、仕事以外のことで 「 上下関係 」 を匂わせたり、威圧的な態度を示すなどとは、けしからん話であり、言語道断といってよいだろう。

仕事の上でも、オフのときも、相手は 「 対等の立場にある人間 」 であり、それぞれの役割が異なるだけで、誰も自分の 「 家来 」 などではない。


たしかに、そういう 「 思い上がり 」 もわからないではない。

私なんかの場合も、20代で初めて役職に就いたときは、かなり 「 天狗 」 にもなったし、生意気で、高圧的な態度をとった時期もあった。

いま思えば恥ずかしい話で、当時の部下には嫌な思いもさせただろう。

ただし、元来が 「 女好きな性格 」 と自覚していたので、せめて仕事関係の女性だけは手を出さないという 「 最低限のルール 」 を自分に課していた。

また、部下には 「 それぞれの役割に見合った成果を挙げているかどうか 」 という興味しかなかったので、それ以上の関心を示すこともなかった。


知り合いの 「 セクハラ好きな男性 」 をみると、そういった行為に及ぶことに関して、それが 「 役得 」 だと勘違いしている人もいる。

また、最近まで法整備が進んでいなかったこともあって、働く女性の中にも 「 仕事の一部 」 だと諦めたり、泣き寝入りをする人も多かったようだ。

そういった労使環境が、不穏な 「 セクハラの舞台 」 を生み出す。

どこにも、自分の部下にセクハラを行ってもよい 「 役得 」 などあり得ないわけで、また、それを拒否できない関係など、どこにも、ある訳がない。

冷静に話すと、それが理解できないような経営者はいないのだが、目の前に 「 獲物 」 の匂いを感じると、一時的に発狂する人がいるのである。


この前、そんな 「 セクハラおじさん 」 に会ったら、最近は社会問題になっているので、少し用心しているとのことだった。

どのように用心しているのかというと、飲みに誘ったりするときなど、「 ねぇ、これはセクハラじゃないよね、ねっ、ねっ 」 と念を押すのだという。

脂ぎった赤ら顔のおじさんに、すり寄られ、ニンニク臭い息を吐きかけられながらそんなことを言われたら、それこそ立派に 「 セクハラ 」 である。

私が若い女の子なら、その時点で泣くか、殴ってしまいそうな話だ。

当然、「 ダメです 」 という理由を説明し、意味も無くプライベートには接触をしないように諭したが、はたして効果があったのか心配ではある。







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