Tonight 今夜の気分
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2004年10月04日(月) お母ちゃんが悪いんだい


「 だから、私の友、アメリカ国民の皆さん、祖国が自分たちに何をしてくれ

 るか問うのではなく、自分たちが祖国に何ができるかを問うてください 」

            ジョン・F・ケネディ ( アメリカ合衆国 第35代大統領 )


And so, my fellow Americans, ask not what your country can do for you;
ask what you can do for your country.

                              JOHN・F・KENNEDY



とても有名な、ケネディ大統領による 「 所信表明演説 」 の一節である。

文法上、「 not A but B 」 の形で、but を省き ask を繰り返すのが特徴だ。


古今東西、「 悪いこと、思い通りにならないことは、すべて国のせい 」 だと考える 「 甘っちょろい人 」 がいるようで、どうにも困ったものである。

おそらく、幸せな人や、幸せに暮らせるように自力で精進している人の場合は、そういう偏った思考に走ることもないだろう。

救いようのないほど不幸だったり、あるいは ( こちらのほうが多いと思うが )、さほど不幸でもないのに、幸福を実感できない人の特徴ともいえる。

不幸の原因をなんでも国のせいにして、愚痴ばっかり漏らして前進しないから、余計に不幸になる 「 不幸の悪循環 」 に陥っているのだ。

少し視点を変えたり、なんでも 「 他責 」 にしたり、他人に頼ることをせず、物事を自己責任で解決する努力をすれば、大半は改善できるのだが。


小さい子供が転んだり、オモチャを買ってもらえなくて悔しいとき、傍に母親の姿を見つけ、「 お母ちゃんが悪いんだい 」 と、理不尽な難癖をつける。

会社、上司の愚痴や、政府、宰相に対して文句ばかり言う人は、大人になってもその習慣が抜けていないのである。

特に男性の場合には、いわゆる 「 マザコン 」 の傾向が強く、周囲を母親と同じく、自分のわがままを聞き入れて、守ってくれる存在だと認識している。

だから、政府がアメリカ寄りの政策を打ち出すと、「 他所の子を可愛がっているように見える 」 ので、拗ねたり、ふてくされたりする。

さんざん文句を言う反面、どっぷりと国に頼りきっている部分もあり、攻撃されたり、痛いとこを突かれると、すぐに 「 名誉毀損だ 」 と 法 に泣きつく。


もちろん、政府の方針が必ずしも正しいとはかぎらない。

しかしながら、それでも大半の人は、文句を並べるばかりではなく、限られた条件の中でも楽しみを見出し、嫌なことばかりに固執しないものである。

生きていく中では、死にたいほどツライことや、苦しい思いも体験するだろうけれど、工夫してそれを乗り越え、生きる責任を放棄することはない。

そんな簡単なことが人並みにできないのは、毎日のように国や政府の悪口を吐き続け、何の感謝もなく、怒りと憎しみだけに固執しているせいだ。

たとえば、「 いま、自分が自由に国の悪口を言えている 」 という事実を考えるだけでも、自由な国に生まれて良かったと、感謝してもよいはずである。


国や政府の悪口を言う人の中でも、状況に応じて攻撃対象を変える人と、なんでもかんでも 「 総理大臣が悪い 」 と帰結させる人がいる。

ご存知の通り、年金制度も、自衛隊も、拉致問題も、総理大臣が自由勝手に決めているわけでなく、むしろ、総理が独断で決められる事柄など稀だ。

もちろん、「 国政の最終責任は総理大臣にある 」 という意見に反対はしないけれど、かといって、すべて総理大臣が悪いと決め付けるのもおかしい。

こういう人にとって、総理大臣はまさに 「 お母ちゃん 」 なのであり、自分の不幸や不平不満を八つ当たりするのには、もってこいの存在なのである。

だから、ほぼ毎日のように 「 お母ちゃん 」 の背中を叩くのだが、いい歳をしたオッサンなので、見ているほうがウンザリしてくる。


過去を責めるつもりはないし、どうでもいいことである。

ただ、そろそろ大人になり、遅まきながら 「 親孝行 」 してはどうか。

冒頭の演説にもあるように、国や政府に甘えっぱなしではなく、より建設的に社会へ貢献する気構えを持っても、バチは当たるまい。

たとえば、「 イラク戦争で多数の死傷者が出ている 」 と言うけれど、日本の自殺者数は、それをはるかに上回っている。

社会問題を提起しているようなフリをする以前に、自分自身が社会問題の種になり、世間に迷惑をかけている事実を反省し、改めるのも一手だろう。


社会は 「 個人 」 の集まりであり、国や政府に形はない。

暗い顔でうつむいた人間が集まって、明るい国など出来るわけがなく、国政に問題があるのなら、それは 「 国民 」 にも問題があるはずだ。

いまの日本で、総理大臣をファシスト扱いしても、そういう宰相が生まれ得る環境に無いことは、少し頭の良い外国人なら、みんな知っている。

国に文句をわめくことは、「 天に唾吐く 」 のと同じことで、その弊害は総理大臣ではなく、自分自身に降りかかってくるだけのことだ。

そろそろ、誰もが 「 乳離れ 」 して、「 お母ちゃんに八つ当たり 」 するようなレベルの低い話は、やめたほうが望ましいと思う。


( 今日のおさらい )

「 総理大臣は、お母ちゃんではありません 」






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