2004年08月14日(土) |
なかなか言えない口説き文句 |
インターネットには便利な機能が多々あり、「 検索 」 もその一つだ。
URL がわからなくても、単語や、タイトルから、目的の頁に辿り付ける。
ただ、思わぬ 「 遠回り 」 をさせられててしまうことも多い。
たとえば、「 口説き文句 」 という単語から、この日記に導かれてしまう方も少なくないらしい。
この日記を続けて読んでいただいている方には、ご理解いただけると思うのだが、それほど頻繁に 「 口説き文句 」 という単語は、使用していない。
それでも、たとえ一回でも 「 口説き文句 」 という語句を使えば、検索なさる際のアンテナに引っ掛かってしまうことがあるのだ。
きっと、「 その単語を含む記事から、なんらかの知識を得たい 」 と期待した方がこの日記に遭遇した場合、軽い失望を抱かれるのではないだろうか。
この日記は、「 時事/社会 」 というカテゴリーに登録されているが、それはけして、政治や経済の難しい話に限定されるものでもないだろう。
むしろ、考えようによっては、「 男と女の葛藤 」 なんてことも、時事や社会に影響を受け、あるいは与える性質のものと言えなくもない。
だから、男女間における恋愛の駆け引きに使用される 「 口説き文句 」 を考察することも、あながち 「 場違いの話 」 ではないように思う。
せっかく、そのような単語を手掛かりに訪れてくださる方がいるのなら、たまには 「 男と女の話 」 なども、テーマに取り上げてみよう。
興味のない方には申し訳ないが、今夜はそういう趣向である。
ひとくちに 「 口説き文句 」 といっても、恋愛には段階というものがあって、それぞれの段階や、状況に応じた使い分けが必要となる。
もちろん、知り合ったばかりの相手に対し、いきなり 「 ベッドへ誘う 」 ような口説き文句を使っても法律には触れないが、ちょっと品がない。
かといって、「 機が熟している 」 のにも関わらず、慎重すぎるようでも問題があり、空気を読めない鈍感さが 「 野暮 」 になる可能性もある。
子供の頃に、「 どうしてウルトラマンは、必殺技の 『 スペシウム光線 』 を、さっさと最初に繰り出さないのか? 」 という疑問を、長く抱いていた。
大人になり、それはきっと、相手のダメージなどを見極め、もっとも効果的なタイミングで発するのだと気づいたが、「 口説き文句 」 も、同じ理屈だ。
過去の偉大な先達により、いろいろな 「 名言 」 の数々が遺されている。
その中には、「 口説き文句 」 として使用された、著名人による愛の言葉なども含まれているが、一概に、どれが優れているともいえない。
言葉や文章だけで判断すれば 「 名作 」 でも、その言葉を発した時点での状況や、相手の心理を鑑みなければ、本当の価値は判断しにくいだろう。
逆に言うと、けしてスマートな文章でなくとも、誠意やまごころが伝わり、相手の胸を打つ言葉というものも、存在するはずだ。
また、言葉だけなのか、あるいはそれを裏打ちする行動が伴っているのかも、たいへん重要な部分であり、除けて考えることはできない。
最近で、印象に残っている 「 口説き文句 」 は、WEB日記を公開している女性が、年上の男性 ( おそらく50代かな ) に告げられたものだ。
それは、「 もう焦る歳じゃない。本当に良い関係を保てる女性をじっくり探しているんだよ 」 という台詞である。
この文章だけを読むと、なんだか 「 純愛っぽい 」 感じもするが、そこへ至る経緯や、二人の関係、知り合った環境をみると、違う印象を受ける。
この女性は、別に本命の彼氏がいるのだが、多忙を理由に、ほとんど会ってもらえないそうで、過去の日記の大半は、その寂しさが綴られている。
個人的に、この女性のことをよく知っており、彼女の名誉のために付け加えると、けして 「 浮気性 」 でも、「 好色 」 でもない、真面目な女性である。
しかしながら、彼女が意図したものでなくても、毎日のように 「 私、寂しいの 」 などと書かれたら、別の男性がうじゃうじゃと集まってきやすい。
実際、彼女の掲示板などをみると、既婚、未婚を問わず、街燈に虫がおびき寄せられるかの如く、うじゃうじゃと集まっている様子が確認できる。
裏表の無い女性なので、日記で語っているようなことを、実生活でも周囲に触れ回っていることは間違いなく、心情は露呈されているようだ。
外から眺めていると、その様子がありありと目に浮かぶのだが、彼女自身は 「 自分が網を張っている 」 ことに、まったく気づいていないのである。
おおっぴらに 「 交際相手募集中 」 という看板も出していないし、彼女がそう願ったわけでもないのだが、結果的には、同様の効果が演出されている。
そこへ、先ほどの 「 口説き文句 」 を引っさげた、初老男性の登場である。
彼女はちょいと 「 ウットリ 」 しているらしいが、同じ男として、この言葉には 「 裏がある 」 ようにしか思えない。
文中の 「 良い関係を保てる女性 」 というのは、「 肉体関係をもつことはあっても、『 結婚して 』 とかは言わないでね 」 という意味であろう。
もし、結婚する意志があるなら、「 結婚を前提に 」 とまでは言わなくても、「 良い関係を保つ 」 なんて 「 余計な表現 」 はしないものである。
このあたりの、遊び人特有の 「 予防線 」 に気づかないのが、彼女自身の魅力にもなっているのだが、「 カス 」 を掴まされる原因にもなっている。
彼女は 「 なかなかの美人 」 だし、こういうことを書くと、ひょっとすると私が 「 ヤキモチ 」 を焼いているのではないかと、思われるかもしれない。
実のところ、「 ヤキモチ 」 は焼いていないが、この男性に対して 「 うらやましい 」 という羨望を感じている。
ただし、その 「 うらやましさ 」 というのは、彼女と交際をされることではなく、このような 「 あからさまな口説き方 」 ができる点にある。
私のような小心者は、なんとかして 「 魂胆を隠そう 」 としがちで、「 前進 」 を求める女性に対し、「 良い関係を保ちたい 」 とは、なかなか言えない。
最初にそう言っておけば、たしかに 「 結婚するの、しないの 」 でモメることもないのだろうが、そこまで割り切った交渉をする度胸がないのだ。
この女性も、ここを見ているはずだし、「 アドバイスを受けたい 」 と仰っていたので、なにかの参考になれば幸いである。
断っておくが、けして 「 不謹慎な誘いだから、付き合うな 」 と言っているわけではなく、むしろ、その逆である。
彼女が 「 本命 」 と思い込んでいる男性のほうが、実はずっと 「 したたか 」 で、何倍も不埒であることを、知るべきであろう。
お互いに未婚で、寂しさを埋めあう需給関係が成立しているのであれば、必要なだけ与え、与えられる間柄は、けして悪いものではない。
二人の交際を祝福し、こちらはアドバイス料として、「 良い関係を保つ 」 のフレーズを、今後、機会があれば、どこかで使わせていただくことにしよう。
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