Tonight 今夜の気分
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2004年05月14日(金) 和解路線


どうも最近は、なにかと “ 勘 ” が鈍りぎみである。

右かと思えば左、左かと思えば右といった出来事が、目だってきている。


昨年、さしたる思い入れもなしに 「 阪神タイガース優勝 」 をシーズン前から言い当てた私が、今年の有力チームは 「 中日とロッテ 」 だと宣した。

本日の時点で、中日の順位は5位、ロッテは6位と、惨憺たる結果である。

データがどうとか、戦力分析がどうとか、そういう根拠に基づく話ではなく、「 なんとなく 」 そう思った結果に至らないのは、“ 勘 ” の問題であろう。

仕事だとか、私生活に関する、つまり自分の責任に及ぶ事柄は “ 勘 ” に頼るべきでなく、たえず冷静な見極めが要求される。

されど、「 どうでもいい事柄 」 や、「 自分の力が及ばない問題 」 の先々に関する見通しについては、誰も “ 勘 ” でモノを言う機会が多いようだ。


テロ、誘拐、捕虜虐待などで泥沼化してきているイラク情勢だが、夏ごろからは一気に 「 終息の方向 」 に向かうような気がする。

秋の大統領選挙を前にしてブッシュ陣営は、強敵ケリー候補との一騎討ちに備え、「 イラク戦争を成功させた 」 という結論に導かねばならない。

そのためには、いたづらに長期化させるより、軍を退いてでも国連や、現地による統治にバトンを渡すほうが、いまのところ体裁が良さそうにみえる。

長い目でみれば、それはけして 「 恒久的な平和 」 に結びつくとは思えないが、これ以上の泥試合が米国民に与える影響は、選挙に不都合が多い。

過去の軍事主導から一変し、外交、諜報機関などを活用した 「 和解路線 」 に政策を切り替える時期が、目前に迫っているのではないだろうか。


その昔、「 サルは木から落ちてもサルだが、政治家は選挙に落ちたらタダの人 」 と言った政治家がいた。

政治家というものは、たとえ 「 こうしたい 」 と思うことがあっても、権力の座から下ろされてしまうと、何もできないものである。

封建的な独裁政権と違い、常に民主主義国家の宰相というものは、限られた在任期間中に優れた結果を示し、次の任期を獲得しなければならない。

もし仮にブッシュ政権が、大統領選挙を戦う必要がなかったとすれば、中途半端なところで手を打つことはない。

攻撃の手を緩める間に、敵が報復の準備を進める危険も多いのである。


実際、大統領選挙の準備という 「 時間切れ 」 が間近に迫っていなければ、アメリカの政策は、より強硬な姿勢を貫くのではないかと思う。

こんなにも中東に占める反米感情が大きいのなら、テロの脅威や、新たな紛争の火種は、これからも尽きることがないだろう。

今回、捕虜に対する虐待が、メディアではなく米軍の内部報告によって明らかにされた背景にも、あるいは 「 アメリカの狙い 」 が潜む可能性がある。

わざとイラク人を怒らせ、「 反米テロリスト 」 といった存在を確立することで、戦争を長期化させ、抵抗勢力を根絶やしにすることもできるはずだ。

あえて戦争を長引かせることで、シリアやサウジなど他の中東地域にまで戦火を拡大し、「 文明の衝突 」 に世界を巻き込む可能性もある。


そう考えると、「 イラク戦争と、米大統領選挙 」 には密接な関係があって、選挙戦が楽勝なのか、混迷するのかによって、軍事行動も影響される。

有権者が 「 自分の安全 」 と 「 他人の平和 」 を望む時期にも多少のズレがあり、それは、同時多発テロと、現在の世論の推移をみればわかる。

国益と国民感情を鑑み、次の選挙に勝利するためには、そのあたりの微妙な変化を汲み取り、なおかつ、政策の普遍性を主張しなければならない。

ならば、イラク戦争に関して、少なくとも秋までは戦禍が激化することもなく、場合によっては、穏やかに終息へと向かう可能性もあると思う。

ただし、最近の私の “ 勘 ” は、外れっぱなしなので、なんともいえない。


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