Tonight 今夜の気分
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2004年04月10日(土) 道徳を守るリスク


「 やるべきことはやる。自分がどうなろうとも、いかなる障害、危険、圧力が

 あろうとも。これは、人間道徳の基本である 」

                 ジョン・F・ケネディ ( アメリカ第35代大統領 )

A man does what he must - in spite of personal consequences,in spite of obstacles and dangers and pressures and that is the basis of all human morality.

                              JOHN・F・KENNEDY



ケネディが優れた政治家であったかどうかは、意見の分かれるところだ。

ただし、演説が卓越していたことについて、異論を唱える人は少ない。


報道によると、イラクで三名の邦人が誘拐されたということらしい。

犯行グループは日本政府に対し、自衛隊を撤退させないと人質の生命は保証しない旨の 「 脅し 」 をかけているのだという。

この件に関し、「 なんか書けよ 」 というリクエストをメールでいただいたが、本音を言うと、あまり気乗りしないのである。

事件以後、狂信的に派兵の反対を唱える人物や、非国民的な言動の目立つアチコチでは 「 水を得た魚 」 の如く、意気軒昂に嬉々とした文が踊る。

それは事件同様に不愉快極まりない暴挙だし、個人的にも述べたい感想があるけれど、論議したところで、ケリのつかない 「 水掛け論 」 に終わる。


実際、戦争の是非について漠然と語りはじめたところで、時間がいくらあっても足りないし、反対論者は聞く耳も持たないだろう。

それで今夜は、「 道徳と勇気 」 というテーマだけに絞って書いてみたい。

私が思う道徳とは、善悪を判断する基準であり、自分を主体にして何をすべきかを考える、いわゆる自己責任の意識であると認識している。

たとえば、自分が中学生だとして、同じクラスの中で理不尽なイジメの被害に遭っている生徒がいたとしよう。

そこで、彼をイジメっ子から守るため立ち上がることは、「 余計なお節介 」 なのか、あるいは 「 勇気ある行動 」 なのか。


現在の北朝鮮もそうだが、かつてフセイン政権下において、多くの善良な人々が、理不尽な弾圧と、苦痛を伴う迫害を受けていたことは明白である。

大量破壊兵器の有無を問題にする人もいるが、その存在がなかったとしても、フセインが独善的な 「 イジメっ子 」 であったことは間違いない。

現在のイラクでは 「 追放したイジメっ子の残党 」 による、イジメの撲滅に参加した集団や、その行動を支持した集団への 「 仕返し 」 が横行している。

せっかくイジメが途絶え、皆が平等に人権を認められる秩序が生まれようとしているときに、残党は 「 以前のイジメ体質に戻せ 」 と要求しているのだ。

相手は悪ガキなので手段を選ばず、暴力的な嫌がらせを繰り返してくるのだが、これに屈することは 「 人道的判断 」 なのか、「 勇気なき屈服 」 か。


人それぞれ考えはあるだろうし、派兵に反対するのも自由だが、あくまでも 「 悪いイジメっ子は誰か 」 ということを、忘れてはいけないだろう。

残党を増長させ、悪質な逆恨みに走らせているのは、テロ集団とスローガンを同じくして振りかざす、ほかならぬ反戦論者たちではないのか。

もし、すべての生徒が 「 イジメはよくないよ 」 という論調で一致していれば、イジメっ子の残党も気勢を揚げることは困難であっただろう。

現実には、「 イジメっ子を懲らしめたのは間違いだった 」 とか、「 クラスの英雄気取りで格好つけやがって 」 という声が、アチコチから上がってきた。

たしかに、戦争の背景に石油利権や、「 級長選挙へのアピール 」 があったことも事実だろうけれど、イジメを撲滅する行動は無駄でなかったはずだ。


見て見ぬふりをすることは、誰にでも出来ることだ。

日本にも、あるいはアメリカにさえも、そういう選択肢はあった。

私が日本政府の自衛隊派遣を支持するのは、その背景に同盟国との政治的なしがらみがあるにせよ、勇気をもって道徳を守ろうとした姿勢にある。

誘拐された三名を救出することに対しては、もちろん最大級の努力をすべきだと思うが、けして 「 道徳を守ること 」 と引き換えにしてはならない。

同朋の生命は何よりも尊重すべきだが、威厳を捨て、道徳を放棄することが、唯一の解決策だと考えるのは誤りであると思う。






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