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2004年04月06日(火) 史上最狂打線


他者と比較して優れている点を特徴とするのは、間違った戦法ではない。

ただし、それだけでは通用しないケースというのも、多いようである。


たとえば、「 体力に自信があります 」 という自己アピールに嘘がなくても、自分の名前を漢字で書けないような人は、大半の企業において雇い難い。

仮に、募集要綱に 「 体力に自信のある人 」 と書かれていたとしても、それは 「 普通のことが人並みにできるうえに、体力もある人 」 の意味である。

女性が 「 優しい男性が好きです 」 と言うのも同じことで、満足に働かないとか、あまりに欠点が多すぎる場合、優しいだけでは気に入ってもらい難い。

このように、自らの優位性をアピールできる 「 自己PR 」 のような特性は、他の部分で 「 人並みのことができている 」 場合にこそ、活かされる。

それが揃わないと、ただ単に 「 バランスの悪い奴 」 で終わることが多い。


野球に詳しくない人には判り難いが、今年の巨人は 「 史上最強打線 」 を売り物とし、過去に他のチームで主軸を努めた打者を、豊富に擁している。

ところが、それがあまりにも偏った補強であったため、投手力など守備面での脆弱さが露呈し、阪神との大事な開幕三連戦を 「 三連敗 」 で終えた。

しかも、肝心の看板打線さえ不発という有様で、まったく見せ場がない。

野球は9つのポジションを、それぞれの役割をもった選手が守り、一番から九番までの打者が、やはり各々の役割をもって攻撃に参加する競技だ。

長打力を備えた打撃特性がある選手には、たしかに 「 華 」 があるけれど、そういう選手ばかりをかき集めても、なかなか勝利には結びつかない。


きっと巨人軍のフロントやベンチの人が、すべて 「 この方針 」 に賛成したわけではないだろうし、バランスの良い補強を望む声もあっただろう。

案外、野球のことは詳しく知らないが、決定権だけは握っているような人物が、このような 「 奇策 」 を考えたのかもしれない。

別に巨人が勝とうが、負けようが、あまり興味はないのだけれど、過去に類をみないほど 「 バランスの偏ったチーム編成 」 だと感じる。

なんとなく、「 お肉ばっかり食べないで、野菜も食べなさい 」 と言いたくなるような、そういうバランスの悪さである。

まだペナントレースも始まったばかりで、最終的な勝敗の行方など断言できないが、バランスが偏った組織のままだと、本来の力を発揮し難いだろう。


野球にかぎらず、職場でも、家庭でも、「 組織のバランス 」 というものは、永続的に、円滑に、良い結果を導き出すために、重要な要素である。

個人がどのような活躍を果たすのかという 「 自分に対する責任 」 というものも大事だが、全員が 「 俺が、俺が 」 という姿勢では上手くいかない。

目立たない地味な作業でも、周囲の人の役割というものを認め、それぞれの貢献を尊重する 「 お互いに対する責任 」 も、大切なことである。

個人主義、実力第一主義などが浸透しつつある世の中だが、周囲に対する配慮や、チームワークを尊ぶことが、それを阻害するものではない。

全体のバランスを考慮し、その中で自分の実力を最大限に発揮するのが 「 個人主義 」 の理想であり、それを欠いた組織には、未来がみえない。






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