2004年03月15日(月) |
明確な指針と、フェアな裁定 |
本日、日本陸連は男女各3人の 「 アテネ五輪マラソン代表 」 を選出する。
今回は、男女ともに “ 誰を選ぶのか ” で難航しそうな気配だ。
特に女子は、前回シドニーで金メダルを獲得した 高橋 尚子選手 の出場がかかっているので、その去就については興味深い。
本来なら、満場一致で選抜されてもおかしくないはずが、いくつかの大会を 「 五輪選考レース 」 などと位置付けたがために、状況が変わってきた。
世界選手権で銀メダルを獲得した 野口 みづき選手 は既に内定しており、大阪国際優勝の 坂本 直子 選手も、合格とみて間違いないだろう。
問題は残る一つの枠だが、高橋選手 の対抗馬として、名古屋国際で優勝した 土佐 礼子 選手 の名前が急浮上し、ちょっとわからなくなってきた。
あと数時間後には答えが出るだろうが、とても気になるところである。
昔、自分も陸上競技を長くやった経験から、過去の 「 陸連 」 の対応には不信感をもっているし、その “ 悪しき習慣 ” は今も変わっていない。
今回も、選考会という名のもとに、「 どちらとも解釈できる基準 」 を自分達でつくっていて、最終的に誰が選ばれるのか曖昧で、ちっとも明確でない。
選考会が、たとえばサッカーなどでいう 「 予選 」 のような位置付けであるとするならば、これはどう考えても 土佐選手 が選ばれるべきだ。
しかし、実際には陸連の中の 「 理事会、評議員会 」 によって、過去の実績や、大会に出場した場合の勝算など、多角的に検証されることとなる。
それが悪いのではなく、むしろ 「 メダル獲得の可能性が高い選手 」 を選ぶのは良いことだが、それならば 「 選考レース 」 の意味合いが薄くなる。
つまりは、「 どういう結果を出せば、五輪に出場できるのか 」 ということが、最初から決まっているようで、実はハッキリしていないのだ。
談合によって決めるのが悪いとは言わないが、それならば最初から各選手や、彼らを応援する一般市民に対し、態度を明確にしておくべきだろう。
今回の場合などまさにそうで、どちらの選手が選ばれたとしても、落選した側の選手の気持ちとして、ちょっと心情的に納得し難いだろう。
私の予測としては、おそらく 高橋選手 が選ばれるのではないかと思う。
もし、そうなったら、土佐選手 にはとても気の毒で、あまり 「 フェアな結論 」 とは言えないような気もするが、それもこれも陸連のせいである。
たぶん、高橋選手 が出場したほうが、アテネでメダルを獲得できる可能性は高いだろうし、そういう意味では彼女が選ばれたほうが良いと思う。
シドニーを制覇したときに比べ、体調がどうなのかにもよるが、アウエーで海外の列強と闘う場面を想定すれば、経験と実績は大きな糧になる。
それに、彼女には 「 ニ大会連続制覇 」 という、他人には成し遂げることのできない夢も掛かっており、そういう意味でも、多くの国民が期待している。
陸連もそれはわかっていて、彼女が具体的な 「 選考基準 」 を満たさなかったので、後になって慌て出したようなところだろう。
土佐選手 が優勝すると、過去の選考レースにおける 高橋選手 の不調について、「 気象条件の違い、競合選手の質 」 などを強調しだしたようだ。
高野連 ( 高校野球連盟 ) も同じく、「 ○○連 」 というアマチュアスポーツの団体には、ときおり納得のいかない不信感を抱くことがある。
彼らの多くは、過去にその競技に携わっていた者も多いはずだが、どういうわけか 「 スポーツマインド 」 を忘れているかのような印象を受けやすい。
アマチュアスポーツの世界で最も大事なことは、「 フェアで、潔い 」 ということなのに、“ 年寄りが密室で相談して決めた ” ような話が多すぎる。
後に遺恨を残さず、選出された者は誇りをもって全力を投じ、惜しくも選に漏れた者は次の機会に挑戦する意欲をもつことが、なにより重要である。
高橋選手 クラスの話ではないが、陸連には個人的にちょっと “ 遺恨 ” があるので、こういう事態は早く無くなって欲しいと望む。
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