Tonight 今夜の気分
去るものは追わず、来るものは少し選んで …

2004年03月13日(土) ちょっと先の日本


21世紀、国内の最重要課題は 「 少子高齢社会への対応 」 となるだろう。

総人口に占める 65歳以上の割合は、ついに 19.0% を突破した。


この 「 19.0% 」 という数字は、これから先も伸び続ける。

国立社会保障・人口問題研究所の発表によると、日本の総人口は2006年にピークへ達したのち減少に転じるが、高齢人口は増えつづけるそうだ。

高齢人口は、2025年には総人口の 28.7% ( 3.5人に1人 )、2050年には 35,7% ( 3人に1人以上 ) になるという予測をされている。

これは、医療技術の発達等により 「 年寄りが死なない 」 ということよりも、次代を形成する子供たちが生まれないことに大きな原因がある。

一年間の出生人口は、25年前に比べると 870万人以上、率にして 10% 以上も減少しているというのが、日本における少子化の実態なのだ。


少子化の直接的な原因としては、未婚化、晩婚化の傾向に加え、既婚夫婦がもつ子供数の減少が挙げられる。

これに対処するには、就業、保育、教育などの面で安心して子供を産んで、育てられる環境条件の整備が、最も重要な課題となるだろう。

あるいは、若い世代の 「 子供や家族に対する価値観 」 が、過去に比べて揺らいできたことへの対応も、必要とされる可能性が考えられる。

たぶん何をやっても、少子化の流れそのものは変わらないだろうが、その動きを加速するのは得策でないし、経済や社会に与える影響が大きい。

ちなみに日本の少子高齢化を世界レベルでみると、ヨーロッパで高齢化の進んでいるスエーデンと、ほぼ同じ水準になっている。


少子高齢化で頭を悩ましているのは 「 先進国 」 だけで、地球上の人口は増え続けており、地域によっては食糧難など、別の問題が深刻化している。

それを思うと、どちらが良いとも言えない状況ではないだろうか。

経済効率優先の現代社会において、高齢化はとにかく否定的にか、あるいはその反動として過剰に肯定的にか、偏った意見を述べる人が多い。

ここに至っては、それを 「 必然的な結果 」 として受け入れ、それに対応のできる社会基盤の整備や、個人の意識改革を行うしかないだろう。

つまりは、世界トップクラスの高齢社会に適した 「 経済と社会のありかた 」 に向けて、国家レベルの改革を推進することが急務となる。


近代国家の宰相による演説を要約すると、「 若者には十分な教育を施し、老人の世話をさせる 」 という点で、ほぼ一致している。

若者にとっては、それこそ迷惑な話なのだが、国家を存続させ、生産性の低い高齢者を 「 生かしておく 」 ためには、それが避けられない論理だ。

高齢者はそれぞれ、その人なりの生活と心情を、長年積み重ねている。

そうやって、多様な 「 老い 」 を生きる一人ひとりを、かけがえのない個人として尊厳をもって受け入れる価値観を、社会の中に形成してゆく。

たぶん、そういった 「 儒教的な思想 」 でも浸透させなければ成立しにくい 「 面倒臭い世の中 」 に、未来は変わっていくような気がしている。






↑押すと投票される エンピツ投票ボタン

My追加


 < PAST  INDEX  NEXT >


Oldsoldier TAKA [MAIL]

My追加