Tonight 今夜の気分
去るものは追わず、来るものは少し選んで …

2004年01月04日(日) 失った歳月


「 真の和解というのは、ただ過去を忘れるということではない 」

                  : ネルソン・マンデラ ( 南アフリカの政治家 )

True reconciliation does not consist in merely forgetting the past.

                            : NELSON MANDELA



学生時代の仲間には、郷里を離れて海外で活躍している者もいる。

お盆やお正月は、彼らと再開できるチャンスも多く、それもまた嬉しい。


どちらかというと、欧米の先進国に出向いている者よりも、情報量の少ない小さな国で活躍する者の話に、とても興味深いものが多い。

たとえば、僻地ならではの不便さや、日本では考えられない習慣など、思わず身を乗り出して聞き入ってしまう話もあり、いつも驚かされる。

単調な生活に飽き気味の時などは、抑えていた冒険心を刺激され、すぐにでも一緒に飛び立ちたい衝動にかられる。

ただ、そういう仕事はえてして 「 銭 」 にならないものである。

たまには大儲けしたという話も聞かないわけではないが、かなりのリスクを負う割には堅実性に乏しいので、半端な意気込みでは大成しない。


同級生だからといって、すべてが昔から 「 気が合った 」 わけではない。

一人、二人ならば友も選べるが、クラス会などはそうもいかないものだ。

毎月のように幼馴染と会ったり、小規模な同窓会と称して酒を呑んだりするし、年に一度は部活のOB会に参加するので、旧友と会う機会は多い。

学生時代に、お互いに少し不仲だったり、苦手に感じた相手もいるのだが、その大半は、数十年を経た今となると、笑いあえる関係になった。

時が経てば、嫌な思い出は忘れ、懐かしさだけが甦るようだ。


人の性格とか相性というものは、なかなか変わらないものかもしれない。

男女を問わず、第一印象で好意を持った相手は、たいてい、時間が経っても好きだし、苦手なタイプと打ち解けるには時間が掛かる。

ただ、子供の頃に出会った相手の場合は、ちょっと状況が違う。

けして性格が変わったわけではないのだろうが、精神的に未発達だったので、本来の性分を曝け出せてなかったり、誤解されることも多いのだ。

世間では 「 子供は素直 」 ともいうが、若気の至りで不本意な言葉を口にするし、大人になって再会したほうが、素直に感情を吐露することもある。


そんなわけで、たぶん大人になってから仲良くできるようになった相手とは、おそらく子供の頃になんらかの 「 失敗 」 があったのだろうと思う。

虚勢を張ったり、嘘をついたり、自分の真意を正直に伝えられないといったコミュニケーションの不具合が、どこかにあったような気がする。

いま、お互いに酒を酌み交わしながら、森羅万象について気の合う喜びを感じつつも、とても残念に思うことがある。

子供の頃に、もっと素直に彼と接することができていれば、きっとお互いに親友として、さらに多くの思い出をつくれたはずだ。

お互いに口には出さないけれど、この 「 無駄に失った数十年 」 に思いを巡らせ、再会を約束しながら、今宵も酔って帰ったのである。






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