続いて三ブロック目〜
短いですがBブロック感想を書かせていただきました。
基本は個人的主観。少しだけ推理っぽいことも書いてます。
(※注は読後感に注意の略)
B01 夢追い人の系譜
精霊のアリアがちまちま動く姿を想像してしまって、口元がゆるんでしまいました。
ホットケーキをねだる時の言葉が可愛らしいく聞こえてたまらないです。
そして陸だった大陸の一部が島になった時、それを「寂しい」と言った感性もすごいというか。
私としてはアリア萌えというか、とてもほのぼのとした気分になれた作品でした。
B02 a Fairy tale, a Fair liar ※注
老婆の語りから始まるファンタジー。まるで伝説のように語り継がれる口ぶりだけど、内容は少々生々しいものがあります。だから注意表記だったのか。
レンは強い女性だなと思いました。打たれ強いところもそうだけど、大胆でとても聡明な女性ですね。最初老婆=お姫様? という気がしたのは、最後の一文にしてやられたからか? でもよくよく読んでみるとこの語り口は全くの別視点。まさにliar(=うそつき)ってこと?
B03 地に降る
最初の二〜三文読んで「もしやあの人の作品では?」と、感想より先に推理が走ってしまった私(笑)滅びゆく国を背景にした王女と従者の話で、さらりと書きだされた情景の描写は独特なものがあります。
『道を間違えたのだ』『何処までが正しい道だったのか』問いかけとともに始まるそれぞれの視点に最初は混乱するものの、目が離せなかったです。愛すべきもののために奮い立った梨凛の姿に玲明の心が解けてゆく終盤がとても印象的でした。
B04 坂を下る
体験談のような口ぶりで始まる物語。終盤に差し掛かるまで、これはホラーかサスペンスかで頭ぐるぐるでした。主人公の心が蝕まれていくさまがリアルというか何というか……子供がぶたれた時は私にまで痛みが飛んできましたよ。更に「私の嘘」にやられたっ。声の正体はそっちだったんですね。
ドラマ化でもされそうなダークさを醸し出しつつ。人間というものは恐ろしいなぁと思わずにはいられません。
B05 暗い道を照らすのは……
ジャンル的には童話、でしょうか? 前の作品がどろっとしていただけにものすごく癒されました。きょーくん、けなげです。可愛いなあ。
赤鼻のトナカイさん的なお話でしたが、きょーくんがいるからこそ、みんなはこの宇宙を回っていられるのだと思います。このお話、もしかしたら児童文学か童話が好きな方が書いたのかな? と推理してみたり。
B06 in ruins
「人間が神を造った」という話。確かに神話は人によって「造られた」部分もあるわけで確実なものがないわけです。でも人間はそれを信じ、崇め、畏れたんですよね。その延長線というのがこのお話でいう聖女だったり、日本で言うところの神官や巫女で……上手くまとめられませんが、自分で作って自分で首絞めてるって、そういうことなんですよね。
創造と争いについてとても奥深いというか、いろいろな解釈ができる作品ではないかと思いました。
B07 俺は不良
王道を行く昭和の不良、最高です(笑)今は天然記念物扱いになっているんでは?
突っ張りつつも動物には弱い所とか、委員長キャラに惚れてしまうとか。べったべたなのに、にやにやが止まらないのは主人公の一貫した心意気に敬しているからなのかもしれません。きっと今の小学生たちには短ランとか通じないんだろうなぁ……
時代の流れをしみじみと感じつつ、とても楽しませていただきました。
B08 分岐エゴイズム
うわあっ。すごく甘酸っぱい。切ない。でもこういう話好きです。タイトルの付け方がとても上手いと思いました。
内容も青春というか、まっすぐな気持ちがぐさりと突き刺さるんです。私もまだ青かった当時のことを思い出してしまいました。友情と恋の板挟み。お互いが大切だからの言葉だったのに、すれ違ってしまうのは悲しいですね。時間が経ってお互いを許し合えるような、そんな関係になってくれたらと思います。
B09 我往此道
B07同様、昭和の香りを感じてしまいました。主人公たちが硬派というか、文章もコテコテです。自分の信念を賭けた決闘ものだ〜って思って、テンション上げたら――おおっ! エクストリームアイロニングときましたか(笑)しかもアイロン・ロータスって……すごい技が出てきちゃってますし。読んでいて小林サッカー並みのテンションにスコーンと落とされた気分。
私はアイロンがけが好きではありませんが、山の上でやったら気持ちいいかもしれません。面白かったです。
B10 夢の中、水の彼方、道の果て
時を超えた約束はいずれ果たされる。
ゆったりとした文章の中、夢の中の光景が綺麗に映し出されていくお話。
じいちゃん、ばあちゃん子のせいでしょうか。気難しい門番が私の中ではとても素敵なおじいちゃんになってます。主人公が悟りを開きすぎているなぁ、と思いつつ。まさかと思いつつ。やっぱり夢の先は「そちらの世界」だったのですね。ラストが門番との別れではなく、再会で結ばれたのが良かったです。
B11 本とキム子とスイカバー
わあ。甘酸っぱい第2弾。超能力と田舎という一見ミスマッチな組み合わせが見事に溶け込んでおります。携帯やテレビゲームが出てないせいか、最初は少し昔の時代の話かと思ったら「草食系男子」という言葉が出てくるではありませんか。そう考えたら今川遊びができる地域なんてとても貴重な気がします。
初恋あり、嫉妬あり、失恋ありと、子供たちの気持ちがくるくる回りつつ、ストレートに伝わってきます。最後のちょっとした嫌がらせはそう来るんですね。主人公の不器用な優しさに微笑ましくなってしまいました。
B12 光の道標
短い文章ながらも、キラキラを感じさせる作品。情緒あふれてます。
鏡を三角にした時点で「万華鏡だ」というのは分かったんですが、作る工程がとても丁寧に描かれていました。こういった形で色彩を表現していく方法もあるんだと、妙に感心。きっと、主人公にとっては硝子の清らかさがとてもまぶしいんでしょうね。
と、いうかあの隙にキスをするのはずるい(笑)私こういうのにも弱いんです。くらっとしちゃいましたよ。