36度のきみ。


明るい空の下で彼と逢うのは、ちょっぴり久しぶり。

何度か、ゆっくりと泳ぐ彼の視線を掴まえて笑ってみた。
悲しい日なのに、やっぱり逢えるのは嬉しくて。
時折、瞼に影を落としながら佇む彼を、真っ直ぐに見つめてた。
その縁を涙が零れ落ちていかないように。

彼が笑って、あたしが笑って、すごく愛しい瞬間。
きみとあたしの、最期の愛しい瞬間。

嫌で嫌でしかたなくて、なんだか恐くて。
逃げ出したくて、半泣きの顔で姫に縋りついてたあたしを、
彼はちらり横目で見て、それは確かに気のせいなんかじゃなくて。


手、が、震えてたなんて、笑っちゃうでしょう?


声が出なかった、なんて、信じられないでしょう?


ホントになんの音も発せなかったの。不自然なくらいに。
そっと合わせた瞳は真っ黒でキラキラしてて、濡れてるみたい。
触れた手が、あの頃と変わらず温かくて。懐かしくて。
もうホントにキツくて、耐えられなくて目を逸らしちゃって。

そんなあたしを見つめた彼が、なにか、言おうとしてて。




でも恐かった。




だから気付かないふり。見えてないふり。卑怯者だっていい。
わかってるのに。なんてことない話しに決まってるのにね。
でも、これじゃただの自意識過剰。

最期の最期で、こんなのってある?

あたし、バカみたい。肝心なとこで逃げるなんて。
正々堂々と向き合えないくせに、好きだなんてよく言えるよね。
バカみたい。バカだよ。バカ。バカバカバカ。

きみを、ただ普通に好きでいられたらね、きっと。
そしたらあたしすっごくいい子でいられたのに。
きみを、笑顔にさせてあげられたかもしれないのに。

ごめんなさい。
その温度をあたし、もう覚えていられない。

好きなのに好きなのに好きなのに。
もうどうしたらいいのか、本当にわかんないんだよ。
2005年04月03日(日)

魔法がとけるまで。 / ちぃ。

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