| 2004年02月10日(火) |
美しく才能に溢れる弟子 |
弟子にして下さいと突然現れた、その才能の素晴らしさ、そして・・・その美しさ、僕は彫刻家でも画家でもない・・・やはりロダンとカミ−ユ・クローデルのことを思い出してしまう。
19世紀末、フランスの女流彫刻家カミーユ・クローデル。天才ロダンの弟子であった彼女は、美貌と才能に恵まれていながら、人生を闇の中で終える。ロダンの子を宿しながら、未婚の母になることを断念した彼女は、ロダンとの愛に破れ、芸術家としての成功にも挫折し、破滅する。女としての幸せを求めながらも彫刻家としての自立をめざそうとしたカミーユ。そのいずれの望みも崩れ去ったとき、彼女の精神は次第に狂い始める。
僕は巴里に疲れると必ずロダン美術館に行く、最初の印象があまりにも強烈すぎたからだ、この作品を見ていたフランス人の女性が「これはクローデルの作品なのよ」と言った。
又オルセー美術館には”壮年”という作品がある、老婆に連れ去られようとしている男の左手が、今まさに追いすがる若い女の両手を振り解いた瞬間である。男はロダンであり、カミーユの愛を断ち、内妻の許へ立ち去ろうとしている。必死に追いすがろうとしている女は、クローデル自身の姿だと言われている。ちなみに老婆は、ロダンの内妻:ローズである。
イザベルアジャーニが好演した映画に獲り憑かれてしまう。
彫刻家や画家は作品が後生に残る、しかし音は空間に消えていく、この刹那、二度とは戻らない時間・・・。
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