雪夜の鬼女定め 一同、稽古場に戻り、酒を飲みつつ冷え冷えした心持で過去や今の女性の話をしました。 「別れ方が難しいやん、もー師匠や親にも電話するわ、会ってくれ言うわ、トーシロのお稽古生徒とは絶対関係持ったらあかん!」 「あーやってたなー!」 「そやかておっ師匠はん見てたら普通やん」
Shinchan「僕なー、首が痛たくて整体やってる大阪のお寺はんに行ったんや、そしたら偉そうな坊さん出てきてなー、主には二千人の女の生霊が憑いてオールって言われたんや、自分の力で退散させたけどあと三人がどーしても退散させられん、ちゅうねん」 「3人の女の生霊、覚えあるんか?」 「・・・・あんねん・・美やろ・・子に・・子・・・」 「こら!反省猿の真似しても憑いた怨念は猿も木から落ちるぞ」 「???落ちてサルッテ欲しいワ」 「その坊さん整体士ちゃうん?」 「それが護摩祈祷をする坊さんやってん、そしたらな祈祷中に頻繁に電話がかかってくるねん[もうすぐ終わるさかい何所其処の店で待ってて]とか言うとんね、あれ絶対彼女からの電話やで、それも複数」 「そいでどないしたん?」 「結局な、東京の大きい病院で色々検査したんやけどな、当時はやりのインフルエンザやってん」 「なんやそれ!でその坊さんになんぼ払ろたん?」 「聞ーてくれんな、優にパリ往復出来るぐらいやった」 「あほやなー、その坊さん自体に生霊憑いてんのちゃうか?そのうちアベサダやで、ちょん切られるで」
「俺、六条御息所の生霊みたいやったらエエな、源氏みたいに退散祈祷なんかかけへんで、一生懸命土下座して謝って、もう一遍さしてーちゅうな」
「アホ!正妻の葵上が病気で苦しんでる横で生霊に向かってサシテ−ちゅうん?全く君の芸の如くやな」 「どういう芸やねん」
「その源氏は通奏低音みたいに母の面影を色んな女に求めてるんヤロ?あれ確かなー源氏17才、六条御息所24才、御息所は源氏より7才年上やったんや。」
六条御息所 故東宮の妃。20歳で夫と死別し、一人娘を抱えて未亡人となる。当代一の美貌と教養の持ち主で、その家はサロン的存在だった。源氏の熱心な求愛にまけて肉体関係を持つが、その絆は深まらず、源氏の足は遠のく。葵祭の車争いをきっかけに、生き霊が抜け出すようになり葵の上を取り殺す。娘が伊勢の斎宮になったのを口実に、一緒に伊勢に行こうと考えていた矢先のことだった。伊勢での暮らしのあと、都に戻り優雅な日々を送っていたが、病を得て出家、死去する。死後も怨霊として紫の上や女三宮を襲った。
そしたら今までだまってた謡いの主が 「僕なー、以前、六条御息所みたいに年上の女がなー、色々あってんけど、あっさり別れてくれたんや・・・さすがキャリアウーマンはちゃうなーと吃驚してたんや、ほいだらな・・・死によってん!!」 「えー?じ・自殺かいな!!!」 「・・・エエ女(ひと)やったんや、よー気が付くしナ、ムチャあれもエエねん、ちょっとな地方の稽古場で地元の生徒さんに色々手伝ってもらってるうちになー♂♀になって、結婚してくれー言われて親も出てきてナ、それ彼女にバレてん、[あなたには勿体無い女(ひと)です、ウチは身を引くさかい、大事にしてあげてね]・・・なんてね・・・悪いことしてしもた、一生償うんや、僕がお寺さんで稽古するんも、そういう自省からやねん」
「君、独身やろ?」 「そんなことあって結婚できるかー、来年はお遍路さんに出るねん・・・」 「なんや、そんなに惚れとったんか、なんか供養してあげたい気持ちになってきたなー」 「おおきに、皆でU子の墓前で音供養・・・してくれへんか?」 「オエ泣くなよ、わかったわかった、皆で音供養しょうな」 「そうしょ、そうしょ」 「で、何の曲する?」 「道成寺の鐘供養はどーや?」 「ひえー!今度は蛇かー!?」
安倍晴明様がいらっしゃらない今、「丑の年の丑の月の丑の日の丑の刻」 くれぐれも、ご用心・・・ご用心・・・奥様、恋人を大事にしましょう・・・
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