幼な子の昔,亡き母が唄ってくれた手毬唄.耳底に残るあの懐かしい唄がもう一度聞きたい.母への憧憬を胸に唄を捜し求めて彷徨する青年がたどりついたのは,妖怪に護られた美女の棲む荒屋敷だった.毬つき唄を主軸に語りの時間・空間が重層して,鏡花ならではの物語の迷宮世界が顕現する。 Shinchanは昨年、今和朗台本、今井耕二演出、劇団俳協、文学座、人形劇団ひとみ座のキャストと協力の泉鏡花原作「草迷宮」の作曲、音楽監督をしました。能囃子、薩摩琵琶、雅楽の楽器の生演奏とシンセサイザー録音による音楽を制作しました。 通りゃんせ、通りゃんせ (此處《こゝ》は何處《どこ》の細《ほそみち》ぢや、 細道《ほそみち》ぢや。 秋谷邸《あきややしき》の細道《ほそみち》ぢや、 細道《ほそみち》ぢや。 少《すこ》し通《とほ》して下《くだ》さんせ、 下《くだ》さんせ。 誰方《どなた》が見《み》えても通《とほ》しません、 通《とほ》しません。) そして村の鐘が鳴る・・・もうこれだけで恐いですよね、まー有名なあの「通りゃんせ」のメロディーを変えて少し編曲しましたが、けっこう作曲中は恐わかったです。
一番恐かったのは原作でさりげなく書かれている、秋谷邸で外で子を腹ましたお嬢さんと本妻が同時に出産して同時に亡くなり、それで気が狂った跡取息子喜太郎は 井戸へ身を投げてしまった、という内容だけでも恐ろしいのに鏡花の詩は・・・これはフルバンド風ジャズで作曲しました。
向うの小澤に蛇が立つて、 八幡長者の、をと姫、 よくも立つたり、巧んだり。 手には二本の珠を持ち、 足には黄金の靴を穿き、 ああよべ、かうよべと云ひながら、 山くれ野くれ行つたれば・・・・・
産んだ其子が男の兒なら、 京へ上ぼせて狂言させて、 寺へ上ぼせて手習させて、 寺の和尚が、 道樂和尚で、 高い縁から突落されて、 笄落し、 小枕落し、
という手毬歌で、この手毬がテーマです、幼い頃亡き母から聞いた手毬歌、その歌を知っていた従姉妹、その従姉妹も無理な結婚が祟って死んでしまい、その手毬歌を聞きたいがために、怨霊が祟る秋谷屋敷に放浪の末たどりついて、小次郎法師が怨霊退散を祈念すると悪左衛門という地獄の使者が菖蒲を紹介し亡き母も現れる、どこか映画のゴーストバスターズの江戸版のような感じはするのですが・・・。 音響テクニックとしては音楽がサラウンドで客席360度飛んだり回ったりして、怨霊のうめき声は客席の下から聞こえるというようにしました。
この時の音楽がサウンドトラックCDになっています。もしご希望ならばE-Mailにてご連絡下さい、送料+\1500-で販売します。
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