「Shin坊蝶々好きか?」「・・・うん」「ほなオペラ蝶々夫人、見にいこか?」「・・・・」 Shinchanのおじいちゃんは大阪フィルハーモニー交響楽団が上演する、オペラ蝶々夫人を見に行くのにShinchanを連れて行くことにしました。 おじいちゃんは指揮者の朝比奈隆さんと友達だったので、特別の計らいでShinchanをコンサートに連れていくことが出来ました。 「比奈ちゃん、こん子、ワシの孫やね、でもなー言葉が遅れててなー、困ってんね、それでワシがヴァイオリン教えてんねけど、どうもピアノのほうが好きみたいでな、音階は全部ドイツ語で覚えてるんや」
「そうかいな、そんならゲネプロの時き来たらよかったのに、ふーん、ボン、そんなにピアノ好きか?」 「絵が・・・シュキ」「絵かいな!ほうー、そうか」「チョウチョ?」「あー、蝶々夫人な、ボン見ときやおじちゃんがなー棒振るとなー、沢山の楽器や歌の人が音出すねで、そやなーボンは音楽家になり、そしたら言葉なんかほんのちょっぴり喋れるだけでええのや」 「・・・・・」 「このお話はなー、『坊や、坊や、可愛い坊や、小さな神様、バラのようないとしい坊や、私が死んでいく姿を、汚れのないお前に見せたくない、お前は海を越えてあちらにお行き、お前は御空から栄光に満ちて授かったの、幸せになるのよ、お前の可哀想なお母さんの顔をよく見るのよ、決して忘れないように、よくごらん。いとしい子よ、さようなら、さあ、遊んでおいで』と、坊やを遊びに行かせ、懐剣を胸に突き刺し、死んでいくんや、悲しい話やれどええ音楽なんやで、 ほな又な、Shin坊、又おいでや」
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