新知庵亭日乗
荷風翁に倣い日々の想いを正直に・・・

2002年11月12日(火) 紙芝居が見れへん!

チョン!チョン!
「さー紙芝居が始まるよ、ええ子は飴玉こうて見てやー、さー始まり―始り―」近所の空き地に向かってちっちゃい子供が走ります。「ちゃんと飴買ってやー、はいはい見るだけの子は後ろ、後ろ、押したらあかんて!」
「おっちゃん!今日はなに?」
「宇宙人来たるや!」
「へーどんな宇宙人?たこみたいなん?」
「そやから飴買って見なさい」
「あっ!Shinchanがまた犬連れてる、おっちゃん、犬連れてたらあかんやろ?」
「吠えへんかったらええよ」

 Shinchanはお金を払って飴も買っていましたが、何時も一番後ろに回されて、大きな子の後ろなので見れませんでした。



「地球人よ、降参せよ、さもなくば、すべての人間が湯気のように消えるぞー・・・さーこの次ぎはどうなりましょうか、それは又のおたのしみー」チョン!チョン!

「おっちゃん!ずるいわ!すぐお終いにして、つづきーはずるい!」
「なにがずるいんや!君らはちゃんとお金払って見てる子を犬連れてるという理由で後ろに回してるやんか?あのワン公もおとなしくしてるのに、そっちの方がずるいんちゃうか?」
「そんなん言うたかって犬、噛み付くもん」
「よっしゃわかった、僕、ワン公と一緒に一番前においで、今日はスペシャルサービスや、いつも正直に飴買って見てくれる僕につづきを見したる!」
「わーいShinchanのおかげヤー」
「みんななーこれから順番を守るか?」
「うーん」
「しゃーないなー、地球防衛軍の将軍は・・・」

紙芝居の風景画
http://plaza.rakuten.co.jp/yukikurosaki/003002








「おっちゃ・・・ん・・・あり・・・とう」
「そうか、わかった、これからShinchan割引したるから、何時でもお出で、そして早よう言葉覚えるんや」

 Shinchanはお家に帰って、紙芝居のお話をしました。「そうか、そんならテレビ買うのをもう少し先にするか?」
「て・・び?」
「紙芝居の方がええかもな」とお父さんが言いました。

 やがて空き地に来る子供達も少なくなってきました、でもShinchanは何時も一番前で飴をなめなめ見るのが好きでした。
 そして空き地から公園に移ってからしばらくして、紙芝居のおじさんは来なくなりました、近所の子はテレビの話ばっかりしてます・・・。

・・・おっちゃん・・・又きてね・・・待ってるから・・・


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