Seakの日記
日々感じたことを書き留めていこうと思っています。

2003年06月06日(金) 欲望と意欲

2003.06.06 (Fri) 20:19:08

今日は東大の産業なんとか研究所に行ってシミュレータを見てくるはずだったのだが、友達と話しているうちに入場時間を過ぎてしまった。まさか、3時にはもう入れなくなっているとは。まあ、4時過ぎに行ったのではなんにせよ、ダメだったのかも知れないが。

帰りの電車、その最寄り駅が各駅停車の駅だったので、そのまま各駅停車に乗って帰ってきた。そう言えば、彼女も各駅停車が好きだと言っていた。使っている路線は違うが、確かに、各駅停車は落ち着く。これからも、ときどき乗ってみるのもいいかも知れない。

その中で考えていたのだが、最近の若者が無気力だと言われる原因の一つに、欲望の考え方があるのではないだろうか。

日本の社会は、戦後、成熟の一途をたどってきた。いろいろ言われることはあるだろうが、社会の規範そのものはよくなってきているのだと思う。それに人間が従うかどうかは別として。

ものの考え方も、どんどん合理的になってきた。必要なものを用い、不必要なものを排除する。少々単純とは言え、みな、おおむね正しいと言える意見には従う傾向が強い。たとえば、環境保護の問題などだ。

この中で、我慢することがより重要になってきた。今までは、我慢なんてしないで失敗しても、なあなあですますことができた。しかし、何が変わったのか分からないし、なぜそんなことになったのかも分からないが、とにかく厳しくなった世の中で、そういうことは許されなくなってきた。

我慢は美徳だ。これは、おそらく今まで以上に強調されていることに違いない。そんなことはない、昔の方がもっと人は我慢できたと言うかも知れないが、それは違う。我慢できることと、我慢が強調されることは、反対と言ってもいい。みんなが我慢できるなら、我慢しろと強調する必要はないのだ。

社会の枠組みの中で、いろいろなことが制約されている。してはならないことが多すぎる。僕のように、それが心地よいと感じる人間もいるだろう。自分の好きなこと以外は他人に任せて、考えたくないと僕は思う。しかし世の中、僕のように思考を放棄した人間ばかりではない。

その制約の中で、とにかく欲望は真っ先に抑圧されてきた。テレビなどで欲望をあおっているにもかかわらず、だ。さんざん欲望をあおられたあげく、それらはことごとく封じられてきた。

こうなれば、人は覚えるだろう。欲望のままに行動することなど無意味だ。欲望は、達成できないものなのだと。好奇心は満たされないものだと。ほしいと思ったものは手に入らないのだと。

今、巷では、人に強制されない学習の重要性が強調されている。自ら学ぼうとする力。人は誰しも、成長する可能性を秘めている。その源泉は何か?

僕は、その源泉は欲望ではないかと思う。何かを知りたいと思う欲だ。これは、何かを欲しいと思うことと同じことではないか。ただ話として聞きたいか、実際ものを自分の手に持ちたいかの違いだ。

少々強引な仮説だが、以上から僕は思う。

今の人たちは、欲望を抑圧されすぎて、あきらめることを覚えてしまったのではないか。やればできると言われても、今までにやってもできなかったことが多すぎたのだ。

物欲も知識欲も同じことだ。いくら知識を考えても、物欲が抑圧されているこの現状を変えない限り、欲望は抑圧され続ける。

同じことなら、なぜ知識欲よりも物欲に向かうのか?それは、ものに興味を抱くからだ。

なぜ、ものに興味を抱くか。…このことに、説明が必要だろうか。今の子どもたちの生活を考えてみるがいい。ものに対する興味を抱く機会は無数にある。テレビを見れば、数多くのものがある。では、知識はどうか?何かを知りたいと思わない子どもなどいるのか?いや、子どもたちは知りたがっているはずだ。

しかし、知識欲は限りなく奥深い。歴史に名を残すような天才がどれほど考えても答えを見いだせなかった問題が、世の中には数多くある。

それに対して、物欲は極めて手軽だ。同じように達成できるなら、物欲へ向かうのも当然ではないか。

こうして、子どもは物欲に慣れる。しかし欲望は、すべて達成されるものではない。知識欲であれば、一生懸命考えれば、自分の得たい知識が得られるかも知れない。しかし、ものは買わない限り手に入らない。子どもなら、親にダメと言われればあきらめるしかない。

子どもは、何度も何度もあきらめる。欲しいと思うたび、あきらめる。

さあ、答えてみるがいい。これでどうやって意欲を持てと言うのだ?欲しいものは手に入らないと、心に刻み込まれるのだ。そりゃ、昔の人は違っただろう。そこであきらめては、生活すら危うかった。しかし今は、そこであきらめたところで、なんの問題もない。自分たちは満たされていることに気づくのだ。

解決策は…。そんなものがあるのか?繁栄した文明は、いずれ退廃の道をたどる。歴史は繰り返す。僕たちの世代は、退廃の第一歩を記す世代となるのではないだろうか。

分かっていてもどうしようもない。僕たちには、先人たちのように、新たな道を拓く力などないのだから。

2003.06.06 (Fri) 20:47:22

読みづらいという指摘を受けた。改行を増やしてみたのだが、どうだろうか。


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