Seakの日記
日々感じたことを書き留めていこうと思っています。

2002年10月02日(水) 冷静さと疑心暗鬼

2002/10/02 20:12 文字数 5665字
ようやく、講義に集中できるようになってきた。
弟にケンカを売ってまで睡眠時間を稼いだ甲斐があったようだ。
しかし、僕がこうやって好き放題やっていられるのも、
弟や友人、両親など、身の回りの人たちのおかげだ。
感謝しなければ…。

集中と言えば、
ようやく彼女がいても、いちいち気にならないようになった。
姿を見かけているだけで動揺しているのは
とても正常とは言えない。
しばらく会わないだけでこうなるのだから、頭がおかしくなったとしか思えなかった。
まだ、動揺していないと言いきれるほどではないが、
たぶん、まともな会話は成立しているだろう。

それから、余裕が出てきたおかげで、少し周りが見えるようになった。
で、疑心暗鬼になった。
もはやこれは僕の癖だ。なんでも疑いたくなる。
もっとも、今さら邪魔されても、どうと言うことはないのだが。

今日は、二限から出かけた。
文学の講義がある、と思っていたのだ。
しかし、他課程の実習の影響で、
その他課程も同時に講義する文学は休講になっていた。
彼らが帰ってくる11月6日まで講義はしないらしい。
仕方がないので成績を確認していた。
だいぶ多くの成績が出ていた。
試験を受けた科目は、すべて通っていた。
成績は気になるが、結果が良くて嬉しかった。

昨日は書かなかったが、
国際交通経済学の講義の時、交通経済学の試験が返された。
点数は95点。
昔ならともかく、今ではかなりの高得点だ。
7月19日に試験があったのだが、
その前の日記を見てもらうと分かるように、
このときの僕は異様にやる気になっていた。
極めて当たり前のことを、この歳になってようやく知った。
勉強すれば結果は出るのだ、と。
ちなみに、レポートも周囲が軒並みB評価だったのに、
僕だけAだった。
最近は劣等感に苛まれることが多かったので、
このような結果が出ると嬉しい。
…自分の力ではないような気がするが。
情報通信システムもこの交通経済学も、
どちらも結構難しかった。
両方優を取れていたら、それはもはや、僕の能力ではないだろう。

ああ、そうそう。
世の中の多くの人が勘違いしているような気がするが、
大学で学ぶ内容は、決して難しくはない。
もちろん、大学や学科によっては難しいことをやることもあるだろう。
特に、初めから偏差値の高い人しか来ないような大学は、
授業のレベルは極端に高く、ついていくだけで非常に大変になる。
だいたい、僕の大学で1年間かけて学ぶような内容を、
レベルの高い理学部では2回の講義で終わらせてしまう。
しかし、よほど妙な教官に当たらない限り、
聞いてもなにがなんだかサッパリ分からないような
難しい講義をすることはほとんどないはずだ。
…もっとも、これは僕のいる大学のレベルが低いからなのかも知れないが。

きついか楽かで言えば、
高校よりもむしろ楽かも知れない。
数学や英語で毎日基礎的な内容を積み上げ、
確実にすべてを理解していないとどんどん取り残されていく、
というような雰囲気は、基本的にない。
1つの講義を理解できなくても、それが他に影響することはあまりないのだ。
だから、数学が得意でなくても科目によっては優を取れるし、
それで特に問題はない。
高校のように、どんなに理科が得意でも、国語が苦手じゃ意味ない、なんてこともない。
まあ、入試がないから言えることだ、とも言えるが。
…と言っても、それぞれも学科によって必須科目はあるが。
例えば、理学部や工学部なら、数学は必須だ。
僕の所属する流通情報工学課程は、工学系の中では
もっとも数学を使わない部類に属するが、
それでも、常微分くらいはできないと話についていけない。
まあ、理系の学生で常微分が分からない、なんてやつはいないと思うが。
ちなみに、これは極端に甘い例で、
普通の理学部や工学部なら、微分方程式を日本語のように
見ただけで解釈できるくらいでないと、たぶん話にならないと思う。

それから、日本語の能力は必須だ。
…と言っても、僕がその点で特に苦労していないくらいだから、
普通の学生が困ることはないとは思うのだが。
しかし、教官によると、まともに日本語が書けていない学生が
まれにいるらしい。
どうやって大学に入ってきたのか分からないが。
文系には少ないと思うのだが、文系の事情はよく分からない。
なんせ僕は、高校の2年から文系と分かっている人間とは
ほとんど話をしたことがないのだ。

9月中旬の日記を読んでいたが、
あの頃と比べて、最近はだいぶ気分が明るくなった。
彼女と話す機会が増えたからか、それとも、
単に気分が波を描いて変わっていっているのか。
どちらにしても、やはり明るい気分の方がいいものだ。

成績を確認しているとき、
大学を休みがちだった友人に会った。
彼は、試験期間中に多く休んだせいで、
かなりひどい成績だった。
どういう事情があったのか分からないが、これからどうするつもりなのだろうか。
とりあえず、まだ大学を卒業する意志はあるようだが。

久しぶりに彼とゆっくり話した。
彼の方がどう思っているかはともかく、
僕から見たら、彼は大学に来て初めてできた友人であり、
もっとも気の合う人でもある。
できれば、もっと大学に来て欲しいものだが。
ただ、余裕を失いやすい部分はあるようだ。
休み明けなどはいいが、疲れてくると性格が少々変わる気がする。
まあ、僕も人のことは言えないので、十分気をつけなければ。

とりあえず、彼のゆっくりした話し方を聞いていると、
こちらのあくせくした話し方を反省したくなる。
僕は、なにを急いでいるのか自分でも分からないが、
どうも急いで話をする癖がある。
話がポンポン飛んで、しかも早口なのだ。
その上興奮気味になりやすいから、とにかく冷静になるようにしなければ。
日記を書いているときは比較的冷静なので、
このような気分のまま話をできるように気をつけなければ。
なんせ、こっちが急いで話をすると、相手の話がろくに聞けない。
そんなに急いで話をするほど、話すことなどないのだ。

三限は、応用化学の講義を受けた。
40代半ばくらいの教官なのだが、
その歳にしては珍しい、「凉」というかっこいい名前の教官だ。
特殊な字なので、表示されないかも知れない。
「涼」という字の、さんずいをにすいにした字だ。

応用化学と言っても、直接化学を学ぶわけではない。
だいたい、そんなことを言われても、こちらにはサッパリ分からないだろう。
…普通の大学生だったら理解できるのかも知れないが。
そういう話ではなく、この講義は機器分析の話だ。

化学的分析手法として、
中学や高校で様々な手法を学ぶ。
リトマス紙を初めとした検出機材や試薬などだ。
しかし、僕たちは流通を学んでいる。
このうち、物的流通、つまり物流を行う場合、
そのものに関する知識が極めて重要になる。
どこぞの運び屋じゃないんだから、
モノは運びました。でも、中身については知りません、
では仕事にならない。
割れるモノは割れないように運ばなければならないし、
生ものは腐らないように運ばなければならない。

そのとき、その運ぶモノに関する知識を得る有力な手法が分析だ。
顧客から情報を聞きだしてもいいが、
結局のところ、生ものを腐らせない方法などは、
物流を行う側が考えるべきことだ。

このとき、リトマス試験紙に対象を接触させて、
などという悠長なことをやっていても仕方がないし、
そうやって得られる情報は極めて限られたものだ。
やはり、欲しい情報があるなら、
その情報に合わせた機材を用いるのがもっとも適切だろう。

ここで登場するのが機器分析だ。
もちろん、機器分析の用途は物流に限らない。
有名な話では、和歌山カレー事件に使われた亜砒酸の、
不純物の分析などがある。
不純物の割合を鑑定し、同定するのに機器分析が用いられたのだ。

様々な機器分析の手法を理解し、
物流においてモノの素性を知る必要が生じたとき、
あるいは問題が起きたとき、
そのモノのことを知る手段を得ることが、この講義の目的だ。

なんで流通で化学?と思ったが、
これで納得した。
しかし、話はこれで終わらなかった。

このような表向きの理由以外に、
この教官がこの講義をしている理由には裏の理由があった。
それは、本来この講義を担当するはずだった教官が、
何らかの事情でいなくなってしまったらしいのだ。
あえて誰だとは言わなかったが、
とにかく、その教官がいなくなってしまったせいで、
今の教官に回ってきてしまったらしいのだ。

この教官は、極めておもしろい講義をする。
基本的で根本的なことを、学生に次々と尋ねていくのだ。
僕が聞かれた質問は2つ。
青いカクテルはなぜ青く見えるか?
というものと、
光とは何か?
というものだ。
どちらかというと、後者の質問の方が難しいと思うが、
どっちにしろ、たいした問題ではない。

しかし、この教官の授業で大変なところは、
学生に「次々と」聞いていくために、
自分の意見を用意しなければならないところだ。
青いカクテルは良かった。
光が通るとき、青以外の光が吸収されるからと答えて終わりだったのだ。
厳密に正しいかどうかは別として、
一言で言うならばだいたいこんなもんでいいはずだ。

しかし、光とは何か、という質問では、
かなりたくさんの人を通ったあとだった。
僕は、光とは何かという定義は知らないので、
何らかの形で説明する必要があった。
そのとき、光は波であり、粒子であるということと、
光は電磁波であるということをすでに誰かが言っていたのだ。
他にも、光は明るいとか波長を持つとか、
なんだかよく分からないことを言っていた人もいたが、
とにかく、何らかの形でユニークなことを言う必要があった。

初回の講義だし、しゃちほこばることはないかと思って、
半分冗談で「光とは希望である!」などと言おうかと思ったが、
僕の2人くらい前の人が「もっとアカデミックに言ってください」と言われていて、
こんなことは言えなくなった。
結局、光速で進む波動と答えたのだが、
よく知られているように、光は媒体によって速度が変わる。
真空中でない限り、光が光速で進むことはない。
そのくらいのこと、知っていたのだが…。
真空において、光速で進む波動と答えれば正解だっただろうか。
とりあえず、光速というパラメータを持つ概念であることは間違いないだろう。

とまあ、このように、
基礎的な質問に対してユニークな返答をすることが、
この講義の主眼の1つになっている。
講義中というある程度の緊張状態で、
比較的簡単な問にきっちり答えられるかどうかを問うているのだろうか。
意図はつかめないが、この程度のことは、できた方がいいに決まっている。
特に、他と違う意見を述べることは、
今まで心がけてこなかっただけに重要だ。
3年になって、少しはできるようになったと思っていたが、
講義中に指されると、なかなか言えないものだ…。

ちなみに、科学から離れた「光」というものを
教官もまったく考えていなかったわけではないらしく、
「ゾロアスター教における光とは…」なんて話をチラッとしていた。
なぜゾロアスター教なのかは知らないが。
百科事典に載っていたらしい。
百科事典は必ずしも科学的とは言えない
怪しい説明を載せた金儲けのための本だ、なんて言っていたが、
僕は、あれはあれでおもしろいと思う。
載っている内容が正しいかどうかは自分で判断すればいいことで、
ある程度有用な情報が載っていることは間違いない。

とにかくおもしろい講義なのだが、
彼女はこれよりも、物流センター管理という講義を選んだようだ。
確かに、流通を学ぶ学生としては、
物流センター管理の方が重要だろう。
僕はすでに単位を持っているのだが、
読んで字のごとく、物流センターを管理する手法についての講義だ。
需要予測などがメインになっている。
基本情報技術者試験を受ける人にとっては、
なじみのある内容が多い分野だ。
ABC分析、在庫管理手法などが、
この講義と基本情報技術者試験とで重複している範囲だ。
ABC分析はともかく、在庫管理手法は
基本情報技術者試験で出るような内容より、
ずっと踏み込んだことも扱う。
…大学の講義なのだから当然だが。

このあと、情報管理システムという講義があった。
分かるようで分からない講義名だが、要はグラフ理論の講義だ。
情報数学概論という必修科目で基礎的な内容は扱っているのだが、
極めて分かりにくいと評判の教官で、
ほとんどの人は出席していなかった。
僕も、この教官の線形代数を落としている。
線形代数というのは、本来はそれほど難しくないらしいのだが。
情報数学概論の方は、得意分野だったし、
数学なのに持ち込み可という異常な試験のおかげで余裕だったが。
このとき、開始30分で出ていったら、みんなびっくりしていた。
分からなくてあきらめたと思ったらしい。
離散コサイン変換なんて分かるわけはないので放棄するとして、
他の問題は基本的にノートに書いてあることを写せば良かった。
難しくも何ともない問題だったのだ。
だからこそ、ほとんどの人が出席していなかったにもかかわらず、
多くの人が単位取得に成功したのだ。
まあ、それでも、半分くらいの人は落ちたようだが。

ついでに言うと、この教官の講義が分かりにくいのは、
おそらく教官の責任ではない。
来る大学を間違っているのだ。
東大を出てMITに留学してきたような教官は、
このような大学にいても仕方ないのだ。
…そんなことは大学でも分かっていたらしく、
去年、この教官は京大の研究所に移籍したのだが。

それでその情報管理システムの方だが、
教官が妙に若い人で、
見るからに不慣れという感じだった。
前途は多難という感じだ。
大丈夫なんだろうか…。
本試験はなしで、小試験二回と、レポートで合否を決定するらしい。
まあ、僕の好きなパターンと言えるだろうか。

明日は一限から講義がある。
そろそろ寝ないと、また睡眠不足で大変なことになりそうだ。
今日はよく寝たおかげか、一日体調が良かった。
やはり、6時間は寝ておかなければ。
と言いながら、すでに5時間半しかないが。

2002/10/03 0:04


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