六本木ミニだより
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1度目に見たときからまったく無視していのですが、どうもこの映画、「ドリス・デイのラブコメのパロディ」みたいなこといわなくちゃいけないみたいなんですね、「プロ」の映画ライターとしては。でも、「そんなの、知らないもーん」という開き直りこみで、私はこの映画が大好き。オチを気にする人の気持ちもわかるけど、私はあまり気にしていない。 昔見たTVドラマだったか少女マンガだったか、「強いフリをして生きていれば、いつか本当に強くなれるのよ」というセリフがあった。そのセリフを聞いたのは、ずいぶん前(たぶん10代)のことだ。私はそのときそのセリフを「残酷だなあ」と思ったし、ここ数年間はとくに、「そんなの、健康に悪いだけだよ」とかなり否定的な目で見てきた。でも、最近、改めて思うようになった。そうじゃないかもしれない、と。 本来の顔とは違う自分を生きようとしたバーバラが、実はそれこそ本物の自分の顔であるかもしれない、と思い始めたとき、この映画は、フェミニストの思想をさえ超越してしまう。多くの心に残る物語がもっている「あるアクシデントに主人公が巻き込まれ、それによって主人公が成長する」ストーリーと同じように、それは、決してアクシデンタルではないのだ。その「事故」は、起こるべくして起きたものなのである。それを、一部の人々は「霊の導き」と呼ぶ。 過去の私のように、強いふりをして疲れちゃった人は、まだ本当に「なりたかった強い自分」に出会えていないだけだと思う。そして、なりたかった自分の姿は、「自分の努力」と、「一見偶然に見える霊の導き」という両親が揃わなければ生まれない。私は、それを感じさせてくれる物語が好きである。
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