六本木ミニだより
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2003年07月18日(金) 『私は「うつ依存症」の女』

 邦題が悪いなあ。原題は「PROZAC NATION」で、日本の現状とあってない、というのもあるんですが。(プロザックは、アメリカでいちばんポピュラーな坑欝剤ですが、日本では認可されていません)
 タイトルほど重くはありませんでした。病気との戦いの部分でいえば、「17歳のカルテ」を超えてはいなかったとは思うが。しかし、この映画で面白かったのは、クリスティーナ・リッチ演じる主人公の「完璧主義女症候群」のほうでした。タイトル、そっちの方がずっといいと思った。
 「美しい」といわれるだけでは、自己評価の低い女にとって誉めことばでもなんでもないと思う。それは「美しい(けどバカ)」「美しい(けどすぐやらせる)」といわれているのと同じ。やはり、女は「才色兼備」と呼ばれなくては。「美しい(だけではないものをもっている)」といわれてはじめて、自己評価の低い女は自分が人間扱いされていると感じるのです。この原作者(エリザベス・ワーツェル、クリスティーナ・リッチよりモデル体型)もすごい才色兼備なんだけど、『サロメ』と違って、わたしは、その才色兼備さにとっても憎悪をかきたてられた。それは、「こうあれば、女は女としての幸せを体現できる」んじゃないかと思われているファンタジーを、原作者が発しているからなのね。ハーバード大学、モデル並の容姿、ローリングストーンズ誌への投稿、10代からライターとして活躍、ドラッグ、セックス。菊川玲以上だわ。
 さらに、男選びがまたまたファンタジック。ハーバード大学にジョナサン・リース・マイヤーズみたいな容姿の男がいて、その男と付き合ったら、そりゃもう最高のファンタジーだと思う。(私、変?)その後、危なげなジョナサンとは別れて、堅実そうなジェイソン・ビッグス(『アメリカン・パイ』で朴訥な童貞を演じた人)に乗り換えるあたりもとってもファンタジー。「ハンサムで危ない」「ハンサムでやさしい」両方、ちゃんと手に入れるっていうあたりがね。
 わたし、「ハーバード大学のジョナサン・リース・マイヤーズに惚れられるなら、完璧主義症候群になってもいい」と思うもの(大恥)。そこにはまって抜けられなくなる深い深いコンプレックスには、すごく共感できます。わたしも重症ですね。しかもわたしにモデル並の容姿はない。嗚呼、だから病が深くならなかったのか。


石塚とも |MAILHomePage

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