夏撃波[暗黒武闘戦線・歌劇派]の独白

2003年12月27日(土) 東京観劇旅行・其の2

 「バ・ク・ハ・ツだ〜!」の巻

 新宿で一夜を過ごした私、ホテルを出て朝の歌舞伎町を通り抜けていく。この街は、あくびを押し殺しながら気怠そうな表情を浮かべているかのようだ。そんな澱んだ空気も決してキライじゃないんだな。
 
 午前中、川崎市岡本太郎美術館へと向かう。現在ここでは「肉体のシュルレアリスムス 舞踏家土方巽抄」という展覧会が行われている。常設展の岡本太郎作品にせよ、暗黒舞踏の創始者・土方巽にせよ、強烈な個性とともに大きな衝撃となって私たちに迫ってくる。枠に収まりきらない奔放なエネルギーが震えるような感動をもたらす。生前岡本太郎が言ったように、芸術は爆発だ!

 川崎から急ぎ、東京は有楽町まで戻る。昼食を掻き込み、日生劇場に入る。蜷川幸雄・演出、市村正親・主演のシェークスピア劇『リチャード三世』を観るためだ。助演女優の一部が滑舌が悪く芝居のリズムを壊しているように感じられたが、蜷川演出は客を飽きさせることがなかった(客席通路から役者が登場したり、舞台中央に櫓を組んで空間を立体的にうまく使っていたり、随所に工夫は見られた)。
 それより何より市村の好演が光っていた。市村演ずるリチャード三世は歌舞伎の悪役みたいな色気を感じさせ、とても格好良かった。それに、観客との距離を測りながら、決してツボをはずすところがなかった。やっぱり一流の役者は違うね。
 シェークスピア作品が優れていることは改めて言うまでもないが、その権力闘争の描き方は秀逸。つまりは、人間に対する洞察力が鋭いってことでもあるんだな。
 王族にありながら「かたわ」(片足をひきずる、つまりは軽度の身障者ってことだね)でもあるリチャードは、王位継承者を次々に殺害し、ついには自らが王位に就く。しかし、最後には戦いに敗れ、死を迎える。おおよそのストーリーはそんなところだが、リチャードは単に悪役として描かれているばかりではない。例えば、身障者でもあったリチャードに対する周囲のまなざしということにも、シェークスピアの目は行き届いていたようだ。

 劇場をあとにして、私は電車で渋谷に移動。映画『サロメ』を観る。オスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』は日本でもよく演じられる作品だと思うが、2004年春に、アイーダ・ゴメスの新作フラメンコ・バレエとして東京、大阪で上演される。フラメンコ上演に先駆けて映画版『サロメ』が上映されたというわけだ。映画に関しては、悪くはないが、さほど面白くもなかった。

 映画終了時刻が夜の7時過ぎ。遊び人の私にとって、夜はまだまだこれから。山手線で新宿まで移動と思いきや、「山手線内での人身事故」のため原宿駅で足止めを食う。後の予定に間に合わないと判断し、電車を降り、タクシーで新宿・歌舞伎町へ急行。「ロフト・プラスワン」というライブハウスで行われる「キャットファイト」を観に行く。「キャットファイト」は「ふつう」の女性同士の戦いだが、プロレスとは似て非なるもの。エッチなシーンも少なからずあり、ショー的要素が強い(行ったことないけど、ゲイバーの雰囲気にちょっと近いかも?)。「ロフト・プラスワン」は、歌舞伎町「コマ劇場」の向かいにあるビルの地下2階、なんか場末の雰囲気というのか、見世物小屋に迷い込んでしまったかのような印象を持ったね。途中、マメ山田という俳優兼マジシャン(小人症でもあるのだが。蜷川演出の『身毒丸』などにも出演していたんだね)の手品も観ることができて、二重の喜びだった。
 ショーが終わった後、まっすぐホテルに戻って、ひとっ風呂浴びる。あとはもう寝るだけ。明日もまた予定が詰まっているぜ。


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