夏撃波[暗黒武闘戦線・歌劇派]の独白

2002年12月15日(日) タガンカ劇場(ロシア)公演「マラー/サド」を観て

 タガンカ劇場(ロシアの劇団)公演「マラー/サド」を観に、静岡芸術劇場まで行って来た。とてもエキサイティングで面白い芝居だった。
 フランスのある精神病院が、物語の舞台だ。この病院では、治療の一環として患者に演劇をさせていた。患者のひとり・サド侯爵が書き下ろしたマラー(フランス革命の指導者)暗殺劇を、患者達が鉄格子の中で演じ始める・・・。アクロバティックな動きやタップダンスなども盛り込んだミュージカル仕立ての芝居だが、見せ場もたっぷりとあり、観ていて飽きることがなかった。
 ミュージカルと聞くと、私はつい「劇団○○」のつまらぬミュージカルを思い出してしまうのだが、世の中に面白いミュージカルのあることも再確認できてよかった。いつかブロードウェイのミュージカルも観てみたいものだ(蛇足だが、東京・中野に「中野ブロードウェイ」というアーケード街があったなあ。今もあるのかなあ)。

 私は、能も、歌舞伎も、オペラも、シェークスピア劇も、現代演劇も、それぞれに好きだし、いずれの舞台にも立ってみたい思いはある。ジャンルが問題なのではなく、その芝居が面白いかどうかという点が重要なのだ。まず、演劇表現として自立しているかが問われているのだ。
 その点では、特に新劇あるいは「社会派」と呼ばれる芝居には大いに不満が残る(燐光群のような例外はあるが)。私は決して「社会派」を毛嫌いしているのではない。いや、むしろ「社会的なテーマ」を含んだ芝居は好きな方だ。しかるに、現実には「えせ社会派」(テーマの奥行きを感じさせず、演劇表現としても自立していない芝居)の何と多いことか。私はただホンモノの芝居が観たいだけなのさ。まあ、私が満足のいく芝居を書けばいいのかもしれないけれど・・・。
 話はどんどん横道に逸れていきそうだが、とにかく面白い芝居が観られた時っていうのはとても気分がよい。私自身、次の舞台がいつになるのかわからないが、役者として舞台に立つ時には一人でも多くのお客様に満足して帰っていただけるようにしたいものである。と、今日の日記はここまでにしておこう。


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夏撃波 [MAIL]