夏撃波[暗黒武闘戦線・歌劇派]の独白

2002年12月13日(金) 能オペラ「藤戸」、それから・・・

 今日、仕事を定時で切り上げて、東別院ホールで上演された能オペラ「藤戸」(声藝舎オペラアンサンブル)を観に行った。今朝の中日新聞に掲載された広告でその公演を知り、衝動的に観に行ったわけだ。「能」と「オペラ」の融合、そして「平家物語」に題材をとった「藤戸」という演目、ということで、非常に興味深かった。その一方で、期待を裏切られる不安も感じていた。
 結論的に言えば、そこそこ面白く観られた。ただ、本編の前にあった導入部(本編を暗示するような、独唱・重唱・合唱や器楽演奏によって効果をもたらそうという異図らしかったが)に関しては逆効果で(演者はあれでもきっと緊張はしているのだろうが、観客の側からはほとんど舞台での緊迫感が感じられなかった)まったく不要と私には感じられた。「声楽」として聴けば、高いレベルではあったろうが、「能」でも「オペラ」でも全くない導入部には失望を覚えた。よっぽど途中退場しようかと思ったほどだ。その導入部は15分ほどで終わり、一時休憩に入った。
 気を取り直して、本編を観た。本編は「オペラ」として十分鑑賞にたえうるものであった(最初から本編を見せろよ、と言いたかったね)。やはり声楽の部分がしっかりしているのが大きい。声がしっかり届いてくる。その声にしっかり感情が乗っかっている。演じている人はきっと気持ちいいだろうな、と感じさせられた。それは、観る側にとっても心地いいものだった。やはり、演じている側がどこまでいきいきとして舞台上に存在しているか、という点が大きいと思う。ただ、東別院ホールが能オペラ「藤戸」の舞台として適当とは到底思えなかった。どこかで日常を引きずってしまい、演じられている非日常世界に入り込みづらい雰囲気がある。それであっても、演者の息づかいがこちらまでしっかりと伝わってきていた。その点では、十分評価すべきだろう。

 さて、今月から来月にかけて観劇の予定が目白押しだ。
 まず、明日はスーパー一座によるロック歌舞伎「けいせい黄金鯱」を観に行く。それに明後日は、静岡芸術劇場までタガンカ劇場公演「マラー/サド」(ロシア語による上演)を観にいく。そして、翌週21日には同じく静岡芸術劇場に、鈴木忠志演出による「ザ・チェーホフ決定版」を見に行くことになった。静岡芸術劇場での公演については、エッちゃん(pH-7女優・上田エツコ)が「ロシア芸術」ファンの私に紹介してくれたのだが、結局2公演観に行くことにした。
 それと、19日に東京バレエ団公演「ザ・カブキ」(一宮市民会館)も観に行くのだ。
 今年の最後は、30日。これは、演劇ではないのだが、東京・新宿PIT INNでの浅川マキ(その昔、寺山修司の芝居や映画にも出演したことがある)のライブに行く。
 年明けて1月18日には、東京で「万有引力」の芝居と、障害者プロレスの興行を観る。実は、翌19日に「花組芝居」も観るつもりにしていたが、チケットが手に入らず、それは断念した。
 とまあ、ここまでは確定しているのだが、おそらくあと2,3追加されるだろう。何が私をそうまでさせるのかはわからないが、20代の頃あまり遊べなかった分をここで一挙に取り返そうとしているかのようだ。

 今年も瞬く間に過ぎようとしている・・・。


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