夏撃波[暗黒武闘戦線・歌劇派]の独白

2002年06月11日(火) 世界の果てまで

 昨日、仕事が終わってから「翔航群」の公演を観に行った。会場全体が喫茶店でそこで芝居も進行するという形をとり、映像の利用も効果的だと思った。ただ2時間の上演時間は率直に言って長く感じた。2時間を持たせるには、台本のよさ、役者の力量が問われてくると思うのだ。その点では、本の力が特に弱かったと思う。

 話は変わるが、ワールドカップ「日本・ロシア戦」に日本が勝利したその日、モスクワで日本人がフーリガンに襲われるという事件があったそうな。俺、実はこの夏、ロシアを旅しようと思っていたんだけどな。まあ、その頃には沈静化されていると思うけど。
 昔から俺、みんながあまり行かない場所に興味があるんだ。ロシア、東欧、中東、アフリカ、南米・・・。芸能人とかもよく行くハワイにはあまり興味がない。俺が学生の頃はアジアを旅するのも少数派だったのだが、今では手頃に行ける場所になってしまい、ちょっとつまんない。
 15年近く前、俺はバックパック背負ってフィリピン(1週間)、タイ(3日程)、インド(3週間)と旅した。はじめの10日程は旅慣れた友人たちとの3人旅、インド入国後は行きたい場所が違ったので彼らと別れて一人になった。いずれまた、この旅行についても触れたいと思うが、とにかくスリリングな体験だった。カルチャーショックってやつを身をもって体験した。その後、韓国に団体で行ったりもしているはずなのに、海外旅行という感じがあまりしなかった(日本と朝鮮半島の関係については考えさせられたけど。戦後補償問題とか南北朝鮮の分断状況とか)。最初の海外旅行先のグアム島(中学生の時)も日本人だらけだったから、やはり海外旅行の醍醐味からはほど遠かったと思う。
 何度も海外に出ているつもりが、実体験の上では3回。そのうちの2回は、自分のなかで海外旅行したとの認識はあまりない。海外に出るには、お金と時間が要る。それと、体力、精神力。そのいずれかが欠けていた。
 俺は、何度も空想の上で世界を駆けめぐった。空想世界へと離陸した。空想の旅行者。俺はいつだって「辺境」を目指した。時に本を読みながら、時に映像を見ながら、時に民族音楽を聴きながら、かの地を思った。ある時は灼熱の砂漠で渇ききった体を引きずり、またある時は村人達と酒を酌み交わし、若い娘と手を取り合って踊った・・・。世界は俺を取り囲むように存在した。
 実際、俺が一生のうちで触れることのできる世界には限りがある。でも、そのなかで多くの感動を味わいたい。演劇に関わり続ける理由もそのあたりにあるのだろう。
 考えてみれば、人生そのものが旅なのだ。そのなかで、自分を取り巻く世界にどれだけ触れることができるだろうか。どれだけの自分の「言語」(「引き出し」)を持つことができるだろうか。皆さんも、どうぞ、よい旅を!


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