夏撃波[暗黒武闘戦線・歌劇派]の独白

2002年06月09日(日) 今日は何の日?

 ワールドカップ、「日本対ロシア」を観てしまった。日本人サポーターたちは、日本の勝利に酔いしれていることだろう。でも、私はちょっと醒めていて、ロシアのミスに助けられた勝利、との認識に立っている。最初からロシア・チームはなぜか浮き足だっていた。それからまた地元での開催ということで日本に有利に作用したことも少なくはあるまい。私は「非国民」なので、特に日本を応援したりはしないのだ。純粋にサッカーを観て、選手達には世界レベルの素晴らしいプレイを期待しているだけさ。
 ついでにもう一つ「非国民」的意見を言えば、スポーツの国際舞台での「日の丸掲揚」「君が代演奏」の儀式はやめてほしい。あれを見たアジア各国の人々は不快感を感じていないだろうか。また、第2次世界大戦下の日本において唯一地上戦の戦禍に見舞われた沖縄の人々の間でも不快に感ずる人は少なくないだろう。「日の丸」「君が代」にはぬぐい去れぬ過去の記憶が刻み込まれている。

 本当はその「日本対ロシア」があった時間、さるワークショップ(パフォーマンス関係の)に出ているはずだったのだが・・・。夕方その会場まで行ってしばらくいたのだが、何かその場の雰囲気になじめず、タイミングをはかって帰ってきてしまった。こんなことなら「翔航群」の芝居を観に行きゃよかったと思ったけど、あとの祭りだわさ。
 
 今日、実は2本芝居を観ている。一つは名古屋大学の「劇団・新生」(学生劇団というのも観てみたかったので)、もう一つは「燐光群」だ。
 「新生」のほうは、それなりに面白くはあったが、セリフが聞こえづらい箇所もところどころあって、滑舌がよくなかった。

 一方「燐光群」は、数年前に観た作品以来2度目。前に観た芝居は一つのテーマに沿って深く掘り下げていく形をとっていたが、今回は「ひきこもり」をテーマに据えながらも断片をかき集めたような印象だった。ジグソーパズルのピースをあちこちから集めて当てはめ、最後に完成を見る、とでもいった過程をたどっていた。
つまらないと言っているわけではない。面白くはあった。舞台上には「屋根裏」がポツンと置かれ、その仕切られた狭い空間のなかで役者達がドラマを展開させていく。その狭苦しさは演出されたものなのだが、観ているこちらまで縮こまって息が詰まりそうだった。その意味ではちょっと辛いところはあった。
 とはいえ、「燐光群」の芝居は、だいぶ好きなほうだ。いわゆる「社会派」に分類されるような芝居なのだが、説明的でないところがいい。あの手の芝居は、現実をいかに切り取り、観客の前に提示するのか、について十分練られていないと、退屈きわまりない芝居でしかなくなってしまう。特に現代は、虚構よりも現実のほうがもの凄かったりもするからね。で、「燐光群」だけど、役者もしっかりしていると思うが、やはり作・演出の力が大きいだろう。坂手氏のなかでしっかりと問題意識を持ってとらえられた芝居のつくりがされていると感ずる。

 さて、明日は「翔航群」を観に行こうか。それを最後にしばらくは観劇生活から
離れることになろう。当面は、稽古場の移転準備に追われそうだ。何事もプラス思考でいこうじゃないか。


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夏撃波 [MAIL]