カタルシス
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定時を待って会社を飛び出す。今日は母上とデートのお約束があるのだ。
過日ラジオ番組の応募で当てた芝居のペアチケットが手元に届き、その相手に娘を指名した母。場所が新宿だったので帰りついでに寄れるな〜と、内容も聞かずにOKを出した娘。何となく不毛さを感じなくもないが、母子で出歩くのは久しぶりなので良しとする。
会場は紀伊国屋ホール。以前に一度行ったことがあったので道に不案内な母を先導し、書店の階層を上がって行くと『月夜の道化師』のポスターが見えた。どうやら我々がこれから観る芝居のタイトルらしい。 チケットを当てた当の母も内容がよく解っていなかったらしく、「何で応募したの?」と聞いてみたら「渡辺えり子さんが脚本してるの」と彼女は答えた。ははぁ、さてはトークのゲストか何かに来ていた渡辺さんの話が面白かったんで、気まぐれに応募したクチだな。と納得した。
うちの母親はそういう人である。 そして、そういうものをよく当てる人である。
紀伊国屋ホールという劇場はそう広くない規模だが、割合名うての劇団や役者陣がお目見えすることが多い場所だ。席の傾斜や舞台の装備はしっかりしていて、なかなか綺麗な劇場である。 応募でGETした席だから後ろから3列目くらいの場所だったが、規模が小さいので肉眼でも役者の顔がまぁまぁ見える感じ。でも、私は演劇だったら…と思ってオペラグラスを持参で行っていたので見えなくて困るなんてことは更になかった。
通路側の席に並んでいた我々の隣の通路には補助席が設置されており、開演のブザーが鳴った頃 目深にキャップ帽を被った女性が2列ほど前の補助席に腰を降ろした。何となく目に入ったので見ていたら、帽子を取った顔に見覚え…
「おかん、相田さんだよ。ほら。」 元Winkの相田翔子だった。周りの人に声をかけられて、愛想良く会釈してる姿がほんのすぐ前にあって、芸能人は大変だなぁ… と、のんきに眺めていた。 「あら、本当。可愛い人ねーぇ。」 と、隣の母もニコニコとご機嫌のご様子。Wink時代はどうでも良いが、最近の天然さ加減は結構好きだったので何か得した気分にはなった。そして確かに可愛かった。もうそれなりの年齢のハズだが、“可愛い”が一番しっくりくる形容詞。ホンモノね〜…
さて、お芝居の内容はと申しますと。 休憩なしで2時間半ぶっ通し。出ずっぱりの役者さんもいて、スゴいスタミナだなぁと感心する。テーマは「痴呆」つまり、老人ボケの話だった。 家族や介護士が老女の介護に奮闘する姿を明るくコミカルに描く一方、青春時代の切ない思い出や人間模様を回想するシーンが絡んで来て、なかなか凝った構成だった。 私的には最後の最後、総まとめのシーンを抽象的にボカして逃げてしまった感があって、ちょっと残念な気がしたが、全体的には2時間半の長丁場を飽きることなく見れる面白い舞台だった。
入場の際もだが、退場の時にも妙に若い人達が多く居るのが気になった。若いというか、いかにも学生風の団体? もしかしたら介護学校とか演劇学校とかでまとめて見に来ていたのかも知れないが、 「ほとんど寝てた〜」「つまんなかった〜」という声が聞こえて、少々ガックリ。 君ら何を見ていたかね。ツメの甘さは感じたけれど「寝ていた」というのは失礼が過ぎる。別に渡辺えり子の肩を持つ気はないが、そんな感想を耳にしたら気の毒にもなろうってもんだし、熱演を披露していた役者陣だってこんな声を聞いたら残りの公演がやるせなかろう。作品の善し悪しを見極めてのダメ出しならともかく、どうせ何も見てなかったんだろ。そんな感想だったら会場離れてから言えよなー。 割と気分良かったのに台無しじゃん。
帰りに昨日のカメラ売場を通ったら夜遅かったにも関わらずまだ営業していた。これは神様が買えって言ってるのかな?と思い、昨日のおじさんを探したが見あたらない。どうせ買うなら気持ちよく対応してくれたあの人の成績にしてやろうと思ったのに残念。と、諦めて 他の店員に「このカメラ予約したいんですけど」と声をかけたら「少々お待ちください」と言われ、彼は何やら別の作業に取りかかるようだった。 〜数分経過〜 交差点の信号が二度目の青に変わったのを見て、店員の様子をうかがってみたが 戻って来そうがないので、 「帰ろう。」と母に促した。 これは「今買うべからず」ってことに違いない。
しかしあの店員、他の店員に話を振る訳でもなく 売場係りと雑談しながら作業をしているのがっずっと見えていたので、どうも癪に障った。なので、もし今後 買うことになってもこの店では買わない。おじさんには悪いけど客の心理なんてそんなもの、一度の応対で買う気にもなるし 買わない気にもなる。恨むならあのアホ店員を恨んでくれ。
あばよ!(捨て台詞)
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