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やすみ日記
梅子
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2008年02月15日(金)
「月も星もない」久我有加

めちゃくちゃ面白かった!! 漫才コンビのサクセスストーリーです。
「月(ツキ)も星(スター性)もない」って、上手なタイトルですね。

売れない芸人である温(はる)は、相方にコンビ解消を言い渡され、どん底に。街で、たまたま、同じく相方に振られた秀永と出会って、勢いで体を重ねてしまいます。「責任とりたい!」と言う秀永と、コンビを組んでみることにするが…という話。

ろくに努力もしないで口先だけだった元相方と違い、秀永は努力家で、温にどんどん意見をぶつけてきます。温も、触発され、二人は寝る間も惜しんでネタを書き上げ、稽古を重ねます。もう、この辺の描写がすごく活き活きとして、楽しい。漫才には興味ないんですが、温の、お笑いに対する熱い気持ちが伝わってきます。

事務所の偉い人にも認められ、さあこれから! という時に、温は、秀永への気持ちを自覚して、ギクシャクし…。展開は予想できるんですけど、やきもきして読みました。夢中になりすぎて、バス停を乗り過ごすほど(笑)

次は、二人が全国コンテストに出る話。最終選考に残って、全国に顔が売れたことによる、光と影が描かれます。温の元相方、ほんまに嫌なやつやな〜。
女性マネージャー・小関さんが、すっごい男前。頼りになるわー。温に「自信を持て!」と渇を入れるところが好きです。ラストシーン、「両手を振り上げて飛び跳ねる」とか、喜びっぷりがよく出ていて、脇のキャラクターまで丁寧に描かれていて、いいなーと思います。
芸人なら誰でも良いっていう女の子・史歩も、ちゃんとフォローされてるし。安易な悪人が少なくて、好感が持てます。

温の「おまえが、初めて付き合った相手やったら良かったのに。そしたら、心配かけんで済んだやろ?」というセリフ。下手に愛の言葉を連呼するよりも思いやりを感じて、良いなあと思いました。

コンビ名の由来、二人が出会った夜の「パイロットランプ」のエピソードも好き。