鶴は千年、生活下手

2015年12月16日(水) 不安から怒りへいくこと

母親というものは、子どもが具合悪くなったりしたときに、心配
のあまり怒ってしまうことがある、とわたしは思っている。
「もう、なんで具合悪くなっちゃうのよ、大丈夫なの?!」
ってなぐあい。

それと同じことが、息子の心の奥底で起きているらしい。
一年生が苛つくんだよという息子だが、よくよく聞いてみると、
何をするかわからないので心配で目が離せなくて、その不安が苛
立ちになっているらしいのだ。

そんなに心配しなくても大丈夫なんだよと、母は根気よく伝える。
「なんだ、心配性だなあ。
 一年生はちゃんと先生が見ているし、介助員さんも見てるから、
 君が心配してみていなくてもオッケー。
 放っておいても大丈夫なもんだよ。」
と言ってみる。

不安なことが多い息子。
家の中には不安なものはないようにして暮らしている息子だが、
学校ではそうもいかない。
年齢が上がってくるにつれ、嫌なものや怖いものに遭遇すること
があることがわかってきたからだろう。
暗い道も怖いって思うようになってきたらしい。
息子が四年生で、わたしが入院していたとき、歯医者さんに一人
で行ってそのまま海老名まで遊びにいってしまったことがあった。
母は大騒ぎだったが、本人はけろっとしていた。
そんな息子が暗い道が怖いと言う。
四年生の時のことを言うと、あの頃は怖いことがこんなにあるな
んて知らなかったからという返事。
だんだんと怖いことが増えてきて、弱虫になっちゃったのかなと
話す息子に、こう言ってみた。

「大きなってきて、怖いことがたくさんあることもわかってくる
 けど、その後は、いろんな怖いものを避けていくことを考えら
 れるようになるんだよ。
 それが大人になっていくということかもね。」

家の外では、いろんな不安と戦っているらしい息子。
きっとぎりぎりの緊張感で学校にいることもあるんだろうと思う。
不安な気持ちをぴーんと張りつめていて、ふっとそれが怒りに移
行することがないように、母は祈るばかりである。


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市屋千鶴 [MAIL]