昨年は、子育てに夢中で忘れていたが、今日は気が付いた。 「ああ、今日は2月10日なんだ。」と。 気が付いたのは、もぐちゃんを連れて買い物に出ようとした時だ。 気付いたからどうということも無いのだが、今年も2月10日が やってきたんだなぁと思う。
2月10日は、わたしが母から初めて父の失踪を告げられた日で ある。 姉の下宿先まで、猛吹雪の中を幌がけジープで突っ走った日だ。 動かなくなるワイパーや、凍ってしまって見えなくなるフロント ガラスを手でこすりながら突っ走った日だ。 この日から、離婚届を提出した2月27日(姉の誕生日)までが、 一番悲しい雪の思い出だ。 あの年の雪は、例年より多かったように記憶している。 もう、31年も前のことだ。 文字にしてみてびっくりするくらい昔のことなんだなぁ、と思う。
さてと。 もぐちゃんと、同じ感情や思い出を共有することのできる初めて の言葉ができた。 わたしや夫が「ガッタン」というと、もぐちゃんは「ガッカン」 と返してくる。 ヨーカドーのゲームコーナーに、機関車トーマスの乗り物がある。 2、3メートルほどのレールの上を、トーマスが3回くらい往復 する乗り物である。 もぐちゃんは、このトーマスに、わたしと1回、夫と1回乗った。 家に帰ってからも、トーマスごっこと称して、抱っこしたままで 言ったり戻ったり、回転したりして遊んだ。 この乗り物にお金を入れると、トーマスのカードが出てくる。 このカードを久しぶりに見つけたもぐちゃんが、突然「ガッカン」 と言いながら、体をひねったのだ。 回転する時に、わたしや夫が「ガッタン」と言いながら回ること を表現しているのだった。 ここ3日ほど、もぐちゃんは何かと言うと「ガッカン」と言って はくるりと回ったりするのである。
子供の考えていることが明確にわかった瞬間は、とても感動する ものだが、わたし達が遊んだことを言葉にして言ってくれたのは これが初めてだったので、ほんとに感激した。
毎日、いろんなことを発見しているもぐちゃん。 それを一緒に見ているわたし。 3歳までに一生分の親孝行をするという言葉を、実感している。
三十年経ても変わらずここにある雪を眺めているような母(市屋千鶴)
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