今週から、夫の携わるプロジェクトが変わった。 同じ通勤場所なのだが、海外向けの開発だったのが国内向けの開 発になったのである。 同じ会社からは、夫を含めて4、5人だったか。 で、今週、まだ2日しかそのグループに属していないのに、毎晩 愚痴を聞かされる。 夫は、他のメンバーよりも2週間遅くそのプロジェクトに投入さ れた。 2週間前から資料を読んだり設定したりしていたはずの、自分よ り年上のSEさん2人が、どうやらいまいちの存在らしい。 上司から、「このままだとやばそうだから君を投入することにし た。」と言われたらしい。
「愚痴ばかり聞かされて、いやになっちゃうよね。」と夫が言う ので、そういうぐちを聞くのも上司の仕事だからと答えた。 むろん、自分を夫の上司の立場だと思っているわけではなくて、 夫よりも11歳年上の元同業者なのだから、何人かのメンバーを 使って仕事をしていたこともあるのだし、その頃の経験からして も、メンバーの愚痴を聞いて対応するのも管理職の仕事の一つだ と思っていた。
一方では、知り合ったばかりの頃のまだ駄目駄目な感じの夫を思 い出して、夫もしっかりしてきたんだなぁと感心したりする。 会社内でSEになる際の試験があるのだが、その試験では全国で 2番目の成績だったのだそうだ。 昔から世話になっている上司が、あの○○君がねぇ、と驚くくら いだから、その駄目駄目ぶりは周知の事実だったのだ。 夫にかけていたものは、普通の日常生活を送るという時計だった。 今ではわたしがその時計なのである。
ひとしきり愚痴をこぼしてから、こう言った。 「でも、おれもちーちゃんに出会って一緒になっていなかったら、 おんなじようなもんだったかもしれないなぁ。」
それを聞いて、偉そうに胸を張り、「感謝しなさいよ。」と言う わたしなのだった。
駄目さにもレベルが有って君のこと嫌いになんかなるわけがない (市屋千鶴)
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