雲の流れは意外に速くて、太陽は照ったり陰ったり、忙しい。
飛行機は相変わらず毎日飛んでいて、もぐちゃんも飛行機の音に は慣れたようだ。 竿竹売りの声とか、焼き芋屋さんの声とかの方が気になるらしい。
妊娠がわかって、引っ越してきて、出産して、仕事というものと はすっかり遠ざかってしまった。 コンピュータの仕事(ソフトの開発)は、基本的に怠け者である わたしには、いつかは引退しなくてはならない分野だった。 日進月歩のこの世界で、ものを作るためにはそのスピードについ ていくだけの努力が必要だからだ。 その点、我孫子にいたときの仕事は、パートと言ってもそれなり に一人でやる部分が多かったから、責任も有ったし、楽しかった。 やっぱり自分には、事務のおばさんが合っていたのだろうと思う。
これから社会との関わりは、子供を通してということがほとんど になるのだろう。 そんなこと考えてもみなかったことだ。 子供の親同士という付き合いが始まるなんて。
自分が親になって暮らして行くなんて、想像できなかった。 わたしのように家事の苦手なものが親だというのは、ちょっと気 の毒な気もする。 が、きっと、たくましく育ってくれることだろう。
子供には、いろんなことを教えてあげたいと思うのだが、では何 をと考えると、それはなんだか生活感のないことばかりのような 気がするのだ。 子供の頃に、どうしてだろうと思ったことは、やっぱり生活感の ないことばかりで、そんなことばかり覚えているから。 空はどうして青いのか。 雲はどうして落ちて来ないのか。 月はどうして落ちて来ないのか。 日本にはどうして四季が有るのか。 一番大きな魚は何なのか。 どうして花が咲いて実がなるのか。
そして、どうしておとうさんとおかあさんは結婚したのか。 自分はどこから生まれたのか。 どうやって生まれたのか。
雲の流れを追いながら、小さかった頃に不思議だったことを思い 出してみたりする午前中だった。
教えてはやれないこともあるけれど愛のことにはちょっとうるさい (市屋千鶴)
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