鶴は千年、生活下手

2002年09月12日(木) 爪を噛む

爪を噛む癖があった。
というよりも、爪切りを使わずに自分の爪で爪を切っていた。
爪の根元もよく剥いた。
よく、血を出していた。

子供が爪を噛むのは欲求不満だからだというが、自分はどうだ
ったのだろうか。
会社の事務員さん(年上の女性)も大人になってからも若い頃
は爪を噛む癖があったと言っていた。
わたしは中学生、高校生くらいまでだったろうか。
なにかイライラするものを抱えていたのだろうと話した。

そんな話から、自傷行為の話に発展した。
自傷行為そのものを普通の人はよく知らないらしい。
自分で自分を傷つける行為。
わたしには経験がないから、どういう気持ちだとはっきり言う
ことはできなかった。
たぶん、「なぜそうするのか」という問いの答えが出せるとき
には、もう自傷することはないのではないだろうか。
なぜなのかわからないから、またやってしまうのではないのか。

わたしの場合、直接的に自分を傷つけたりはしなかったのだが、
自分の体を大事にしなかった。
いつもいつも、選ばれなかった自分が好きではなかった。
自分の体に女としての価値を見出せないでいたから、女として
自分を欲してくれる人には、とてつもなく弱かった。
こんなわたしでもいいなら、どうぞあげますよ、ってな具合。
今だから、なぜそうしていたのかがわかる。
人間として絶対に自分を必要としてくれる確かな存在を見つけ
ることができたから。
女としての価値ではなく、一つの個性としての価値を確信させ
てくれる人達にたくさん出会えたから。
(何年もかかったのだけれども。)

  思いやりだけでは傷は癒えぬから能動的に愛をください
                      (市屋千鶴)


 < 過去  INDEX  未来 >


市屋千鶴 [MAIL]