「隙 間」

2011年02月20日(日) 「洋菓子店コアンドル」

「洋菓子店コアンドル」

蒼井優、江口洋介、戸田恵子主演

鹿児島から、パティシエを目指して上京した恋人を追いかけ、働いているはずの「洋菓子店コアンドル」を訪ねてきたナツメ(蒼井優)。

しかし彼はそこに居なかった。
すぐに修行のやり方に不満を覚え、他店に移ってしまっていた。

彼を探しつつ、コアンドルで住み込みで働き始めるナツメだが、先輩の真理子とことあるごとに衝突を繰り返す。

根拠なく向こうっ気の強いナツメの言動が、イチイチ、技術も意識も誇りを持って努めている真理子の癇にさわるようなものばかりなのである。

そんななか。

シェフ(戸田恵子)が大仕事である、晩餐会の依頼を前にして事故に会い、店自体を閉めなければならなくなる。

バラバラになりかけるコアンドル。

ナツメは、かつて伝説のパティシエと呼ばれ、シェフとも古くからの付き合いである戸室(江口洋介)に、助けを求める。

しかし戸室は、幼い娘を事故で亡くしてから厨房に立つことがずっとできないまま、評論家や講師の仕事ばかりで八年間を過ごしていたのである。

コアンドルは、シェフを欠いたままで晩餐会を無事、やり遂げることができるのか。

素人のケーキレベルしか作れない「地元のケーキ屋の娘」にしかすぎないナツメは、パティシエとして成長してゆくことができるのだろうか。



物語のなかに、感動は、おそらくない。

ただパティシエ姿の蒼井優が、凛々しい。
鹿児島弁で強気な蒼井優が、愛らしい。

常連客の加賀まりこが、素晴らしい存在感を出している。
まるでメリル・ストリープのような、といってよいかもしれない。

さらに戸田恵子が、落ち着きと安心感のある存在で、物語を支えている。

そして。

ショーケースにキラキラと彩られた、さまざまな洋菓子たち。

端から端まで、ぜんぶ、ください!

と、叫びたくなる。

しかし、惜しい。

もう少し、物事の成り行きの背景が、きちんと伝えられればよい作品だと素直に思えたのに。

しかし。

蒼井優、恐るべし。

一途で、不器用で、頑なで。
そして強くて、弱くて。

彼女は、目でそれを表現している。

そんな女優が、日本で今、いったいどれだけいるだろうか。

先日、ブルーリボン賞、日本アカデミー賞が発表された。

松たか子、深津絵里らは、好きである。
それはつまり、見た目だけではなく、女優としてでもである。

作品賞を受賞した「告白」や「悪人」が、テレビ局とタイアップとかではなく、純粋な「映画作品」として賞を勝ち取ったことが、さらに嬉しい。

単館・ミニシアターが閉館の憂き目をみたりしている昨今に、邦画が踏ん張り、立ち上がる力を、わたしは信じていたい。

いや。

信じている。


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