| 2010年12月24日(金) |
Dec.24,10PM,Eastern standerd time. |
Christmas bells are ringing... Christmas bells are ringing...
Santa Claus is coming! No room,at the Holiday-inn,all day!
まさに「RENT」!
わたしはにっちもサッチモ、「素晴らしい世界(What a wonderful world)」とは成り果てぬ仕事に、早々に見切りをつけて帰路についていたのである。
サッチモ(ルイ・アームストロング)のしゃがれ果てた声が、耳の裏を逆撫でるように囁きかけてくる。
柄にも合わず、また丸ノ内のイルミネーションなぞを撮りに寄り道してきたのである。
ああ、なんてやさしい照明を使ってくれているのだろう。
これは砂糖を求めて群がる蟻のようなつがいの男女たちにではない。
蟻を天敵とするアブラムシのごとく、きゃつらの視界に入らぬようコソコソと隙間を縫うわたしに、である。
以前触れたが、わたしは、最近のLED照明なる攻撃的な光の前で、ろくに目を開けていられないという、建築設計をしている者としていかがなものか、という男である。
それをみて、
「キャアーっ、キレー、キレー!」
と黄色の歓声を上げる女人に、
「それほどお望みならば、斬ってしんぜよう」
と反射的に斬鉄剣にて袈裟切りにしてしまう心配がない独り身で、まことによかった。
そうしてひと回りして、ロジャーの待つ、いや誰もいないので、つまりはその引きこもりのロジャーに自らがなるべく、帰宅したのである。
ウォッカやワインで乾杯、とゆくわけにももちろんゆかず。
そっか暴飲で乾杯だ、と健康的に野菜ジュースをコップになみなみと注ぎ、一気にあおり続けたのである。
果たして野菜ジュースで膨れた満腹感でそのまま寝つき、明け方に、おそらくつけっぱなしだった電気やらを消し、ふたたび眠りに就いたわたしは、九時前にパチりと目が覚めたのである。
されど朝市のチラシに目ぼしい野菜はなく、出かける理由はさらに無くなった。 何にせよ仕事納め以後に数日出勤せねばならぬなら、この週末くらいは休むべきである、との暗黙の了解をしたのである。
昨夜、窓に小石をぶっつけ、
「鍵を投げてくれ!」
と下から呼ぶコリンズの声もなく。
「ブランチしましょう!」
と曇った窓にミミのメッセージもなく。
したがって、ますますもって、出かける理由なんて皆無にひとしくなる。
「おおっ」
わたしは旅に出ることにしたのである。
四国一周の、まだ途中半分の愛媛で止まったままであった。
サイコロの目に振り回され、足摺岬でまさに足摺り進めず、悲しみと苦しさと、そして、支え手助けしてくれた地元の人々のやさしさに、アスカ姿の女子が涙で頬を濡らす旅。
「四国一周ブログ旅DVD」
稲垣早希嬢と共に、である。
四国、とくに高知は、広い。 そしてその旅は、ついにゴールへとたどり着く。
わたしは知らずに、涙しそうになっていた。
成し遂げることは、素晴らしい。 成長する過程の、一見愚直にすら映るその姿。
愚を怖れて直なだけでは、乗り越え、突き破り、たどり着くことは適わない。 愚であるからこそ、空をめがけ壁の向こうを目指し、たどり着くことができる。
この年齢になってなお「愚」を目指すのは、まさに愚かなのかもしれない。
思案にくれていると、外の陽もまさにとっぷりと暮れていたのである。
Christmas bells are ringing... Somewhere else... Not here!
そう。 ケーキもターキーもないが。 食料なら、ある。
結局、ベツレヘムの聖人の誕生日は、一歩も外へ出ずに過ごしたのである。
「ミキサーの調子が悪いの。みにきてくれないかしら?」
と電話で呼び出すモーリーンも、いない。
「あれほど呼ばないでといったのに、なぜあなたが呼ばれて、あなたものこのこやってきてるの!」
と、怒り心頭でわめくジョアンヌも、いない。
One song glory...
ギターは弾けない。 ビデオカメラも持ってない。 あるのは紙とペンと、妄想と文字だけである。
What you own?
「RENT!」
Forget regret, or life is yours to miss.
家賃やローンに限ったことではない。
生きること、すなわちそのすべてが、周囲から様々なものをちょっとずつ借りてゆくことなのである。
「What a wonderful world...」
サッチモがニヤリと親指を立てる。 ビル・エヴァンスが鍵盤越しにウインクする。
Easy Living
放っておいても、年は明けゆくのである。
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