| 2010年12月06日(月) |
「スコーレNo.4」 |
宮下奈都著「スコーレNo.4」
インターネットでつぶやく「ツイッター」とやらで、書店員らがゲリラ的に販売拡大活動を仕掛けたことで話題になった作品である。
わたしは「ツイッター」なるものをやったことがない。
自慢ではないがわたしの場合、とてもではないが「つぶやく」程度で納まる自信がない。
であるから、いったいどのようにして「つぶやかれ」て本作品が広まっていったのか、を表した図解表が隣に添えられていたので、それを合わせて持ち帰ったのである。
なかなか面白い販拡である。
さて物語だが。
「スコーレ」とは「スクール」つまり学校の語源と関わる言葉で、四つの、学校や会社などの経験を経て主人公の少女が成長してゆく物語である。
読みやすい。
それに尽きる。
つぶやかれたほどの感動は、本作品の中にはないのかもしれない。
いや。
そんな時期を気付けばとうに通り過ぎてきてしまったわたしだから、そう感じてしまったのかもしれない。
物語は、そう山や波がある訳ではなく、それは人生のそれと同じかもしれない。
それでも。
物語には直接関係ない一文で、目から鱗の人生の感動に、気付かされてしまったのである。
「わたしのおっぱいだけで、この子の身体じゅうの細胞が倍になったってことよ?」
五ヶ月で倍近く成長した我が子を眺めて、言う。
こんなことは、ひとの親であれば当然のことで、さして驚きもしないことである。
が。
これは、じつはとてつもなく、物凄いことなのではないか、と思わず友人に事実確認をしてしまったほどである。
粉ミルクだなんだと現代の育児事情はわからない。 が、母乳はこの世でたったひとつきりの、最も最初に身体を構成、成長させるためのものなのである。
だからといって、ここでフロイトの云々などとのたまうつもりはない。
そして。
「もっと自分を信じなさい。あなたは、だいじょうぶだから」
何一つひとより優れたものを持っている自覚などなく、いや劣っているのではないかと思っていた主人公に、職場の先輩や上司が、言う。
どれが正しくて、どれが間違いなのかもまだはっきりわからない時分、そう言ってくれるひとと、出会えただろうか。
「出来ねえと思ってたら、お前にやらせなんかしねぇよ」 「出来るのに、俺とか誰さんとかにやってもらおうとか、甘えようとしてるお前が、ムカつく」
言い方は厳しく様々だが、そう言ってくれていたひとが、いる。
「うん。だけど結局、お前は俺が期待してた合格ラインの手前までしか、やろうとしてくれなかったよな」
チクリと、ニコニコ笑いながらうなずいていることだろう。
そんなこんなな、自分が歩いてきた道の途中で出会ってきたひとやものやことを、思い出すのによいかもしれない。
また、まだこれから、というかたや、まっただ中、というかたには、そんなこんなな、自分だけにしか得難いものやことやひととの出会いがあることを、信じてもらいたい。
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