「隙 間」

2010年12月01日(水) 「百歳の少年と12通の手紙」

「百歳の少年と12通の手紙」

をシャンテシネにて。

今日は一日、サービスデーである。
どんなに忙しくても、残業するその余力をまわして映画へゆこう。

白血病で余命わずかな少年のオスカーは、周囲の大人たちが腫れ物を触るように彼を扱うことに嫌気がさしていた。

ある日、ピザを配達に来たローズと廊下でぶつかり、そのちょっと乱暴で気っ風の好い喋りをするローズをすっかり気に入ってしまう。

ローズは離婚した後、女ひとりでピザ屋を開き、懸命に稼ぐことだけで手一杯の日々だった。

ローズじゃないと口をきかない。

両親とも医師とも看護師とも一切を話さなくなったオスカーの話し相手に、医師はローズに来てもらうことにする。

しかしローズは、大の病院嫌い。
さらに、ボランティアなんてする気が知れない、ひとのことより自分が生きるためだけで手一杯、と。

そんなローズだが、ピザをかわりに注文することを条件に、渋々引き受けることにする。

あと十二日で新年を迎えようとする、クリスマス前であった。

「古い言い伝えで、新年迄の十二日は来年の十二ヶ月の天気を占うというのがあるのよ」

さらに、

「一日を十年と数えて、手紙を書くのよ」

宛先は神様で、と、誰にも自分が感じたこと、思っていることを言わずにいたオスカーの気持ちを書くようにさせる。

オスカーと出会った当初、ローズは自分を「元プロレスラー」だといい、試合の話を面白可笑しくオスカーに聞かせていた。

サンタクロースの正体で騙されたオスカーは、神様も信じない、という。

「チャンピオンだったローズでも神様を信じるの?」
「サンタクロースは信じない、だって彼は人間だもの。
だけど、神様は信じている」

さあ。
一日目のあなたは生まれたばかり。
なんでも、願いでも書いて御覧なさい。

そうしてオスカーは手紙を書き、それをローズが風船にくくり空へ、神様へ届ける日がはじまった。

風船の手紙は偽物で、本物はオスカーの担当医師や両親に読ませることに。

実際は十代にも届かないオスカーは、二十代、三十代、と世代ごとの感想をつけてゆく。

二十代は幸せな時代。
三十代は不安の時代。
四十代は困難の時代。

オスカーを飾らずに叱咤し勇気づけ共にいるうちに、ローズも次第にこれまでのガチガチだった考え方から変わりはじめる。

そうしてオスカーは十二通の手紙を書き残す。



ローズの試合の場面や回想場面の描写などがちと古臭い子ども番組のようだが、物語はなかなか面白い。

自分が死ぬとわかっていて、周りがそれを教えてくれない状況というのには、チクリと胸に刺さる思いがある。

いったいどちらがよいのだろうか。

もし自分ならば、教えてもらわねば困る。
しかし教える側だとしたら、かなり困る。

自棄になるならない、だとか。
やっておきたいことやもの、だとか。

本人にしかわからない。

さきの「田村はまだか」に、次のような一節がある。

どうせいつかは死ぬんだから、て。
じゃあ、腹が減っても、どうせうんこになるんだからって、飯を食わないのか?
今、生きているんだから、生きればいい。

死ぬとわかって今生きているのだから、生きている間にやっておきたいことくらいは、ある、だろう。

そしてついでだが、今際のきわに手を握るならば、それは、親子兄弟よりもまず、

妻や夫

であることが互いにとって望ましいように、最近わたしは思うようになっている。

もちろん、一概には言えないが。

夫や妻は、親子兄弟を押し退けても手を取るような、そんな在り方が、いい。


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